有機エレクトロニクス 機器を劇的に薄く、軽く、柔らかくするコア技術
 

「ゼロ・エネルギー・ビル」で生きる有機薄膜太陽電池

三菱化学の山岡弘明氏が今後の展望を語る

高野 敦=日経テクノロジーオンライン
2014/07/11 09:56
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三菱化学情報電子本部OPV事業推進室長の山岡弘明氏
三菱化学情報電子本部OPV事業推進室長の山岡弘明氏
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 三菱化学情報電子本部OPV事業推進室長の山岡弘明氏は、2014年7月10~11日開催のセミナー「有機エレクトロニクスの次の方向性を考える」で、有機薄膜太陽電池の取り組みについて講演した。同社が有機薄膜太陽電池の用途として期待するのは、エネルギー収支がゼロの「ゼロ・エネルギー・ビル」(ZEB)だ。

 有機薄膜太陽電池は、光電変換層に有機薄膜半導体を用いた太陽電池である。その特徴としては、軽量、フレキシブルで曲面に対応できる、薄い(シリコン系太陽電池の1/1000)、意匠性に優れる、などが挙げられる。

 これまで、太陽電池は広くて日射量の多い場所を中心に設置されてきた。だが、そうした条件の良い場所はあまり残っていない。今後は、地面と平行な面だけではなく、地面と垂直な面も活用していく必要がある。その場合、前述のような特徴を備える有機薄膜太陽電池が有利になると山岡氏は言う。

 では、有機薄膜太陽電池の用途として有望なのは何か。それは、住宅や建築物だという。日本におけるエネルギー消費の推移を見ると、運輸部門と産業部門はほぼ横ばいであるのに対し、住宅・建築物部門は右肩上がりとなっている。同部門のエネルギー消費を抑制する手段として、有機薄膜太陽電池へのニーズが高まるという読みだ。実際、国土交通省/経済産業省/環境省は、2020年までにすべての新築住宅・建築物に対し、政府が定める省エネ基準適合を義務化する方針を示している。この省エネ基準を満たすには、年間のエネルギー消費量とエネルギー生成量の収支がゼロとなるZEBのような取り組みが欠かせない。そして、ZEBの実現は、ビルの水平部分だけではなく垂直部分を生かさなければ不可能だと山岡氏は指摘する。

 例えば、スーパーゼネコンの1社である大成建設が横浜市戸塚区の技術センターに建設した「ZEB 実証棟」では、一般的なビルと比べてエネルギー消費量を75%削減するとともに、消費量と同じだけのエネルギーを「発電する建物外壁ユニット」で得ようとしている(ZEB 実証棟についての関連記事)。同ユニットには、三菱化学の有機薄膜太陽電池が採用されている。

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