有機エレクトロニクス 機器を劇的に薄く、軽く、柔らかくするコア技術
 

「電子回路は皮膚と一体化し、皮膚の内側へも入っていく」と東大の染谷氏

東京大学 大学院 工学系研究科電気系工学専攻 教授の染谷隆夫氏

大下 淳一=日経デジタルヘルス
2014/07/10 21:29
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講演する染谷氏
講演する染谷氏
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 東京大学 大学院 工学系研究科電気系工学専攻 教授の染谷隆夫氏は、2014年7月10~11日開催のセミナー「有機エレクトロニクスの次の方向性を考える」(主催:日経エレクトロニクス)に登壇、同氏のグループが研究を進めている、有機デバイスの医療・ヘルスケア分野への応用について紹介した。講演タイトルは「有機デバイスとフレキシブル医療IT応用」。

 染谷氏はかねて、フレキシブルや大面積という特徴を生かした有機デバイスの開発を進めてきた。従来、この分野はディスプレーへの応用が有望視されていたが、最近では「バイオ・医療への応用に向けて、し烈な開発競争が繰り広げられている」(同氏)。

有機デバイスの高い形状追従性を生かす

 染谷氏の研究グループでは、厚さが1~2μmと非常に薄く軽量な有機トランジスタや有機太陽電池を開発。これらは最小折り曲げ半径が数~数十μmと小さく、くしゃくしゃにしても機能が損なわれない。こうした極薄で軽量、伸縮自在な電子回路は、人体表面に貼り付け、生体信号を取得する用途に最適という。形状追従性に優れ、生体情報を安定して読み出すことができるからだ。

 ただし、生体が発する信号は全般に微弱なため、安定して信号を読み出すためには、信号増幅回路(アンプ)が欠かせない。ここには有機材料を使ったアンプ(有機アンプ)を使うが、Siの回路に比べてトランジスタの特性ばらつきが問題となりやすい。そこで染谷氏らは、浮遊ゲート構造を使ってトランジスタのしきい値電圧を調整し、有機アンプの特性ばらつきを抑える技術を開発した。有機アンプはSiアンプに比べると動作速度が遅いものの、生体信号の周波数は1~200Hz程度であるため、十分に対処できるという。

 染谷氏が見据えているのは、人体の表面に貼り付けるという使い方だけではない。有機デバイスは「皮膚の内側へも入っていく」。すなわち、埋め込み型(インプランタブル)デバイスへの応用である。この応用に向けては、生体適合性の高いゲル材料で有機アンプの電極表面を覆うなどの工夫を施した。既に動物への埋め込み実験を開始しており、ラットの心臓からバイタルデータを取得できることを実証済みである。「非常に薄いデバイスであるため、動物の(臓器などの)動きと干渉しない。こうした特性が医療現場で高く評価され始めている」(染谷氏)という。

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