講演する福島氏
講演する福島氏
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 メディカル・データ・ビジョン 取締役 事業開発部部門長の福島常浩氏は2014年7月7日、「医療ビッグデータ・サミット2014 ~ゲノム解析から予防医療、自動診断まで――ビッグデータがもたらす新産業~」(主催:日経デジタルヘルス)に登壇し、「医療ビッグデータにおけるリアルワールドエビデンスの活用」と題して講演した。

先進諸外国はEHRやPHR、そしてEBMのフェーズに

 福島氏はまず、日本が医療データ活用に関して先進諸外国に比べて遅れていることを指摘した。例えば英国では、政府と民間が協力してデータベース基盤を整備しており、医師が積極的に高品質なデータ蓄積に取り組むことができる環境にあると説明。データの実用度は世界トップクラスであるとした。

 米国では、商用ベースのデータ市場が活発であり、民間活力により多彩なデータベースが発展し、テータベースの利活用がしやすい環境にあると指摘。韓国では、診療所を含めて全土で医療情報の電子化・連携が進んでいるとした。

 さらに、スウェーデンでは、科学的根拠に基づいた医療(EBM)によって医療の標準化が促進されており、医療の質の底上げが図られていると説明。小児の急性リンパ性白血病の5年後生存率に関して、以前は12%であったのに対して、データの活用によって標準的治療法が確立したことで87~89%に高まったという例を示した。

 これらの諸外国の事例を踏まえ、福島氏は「先進諸外国はEHRやPHR、そしてEBMといったフェーズに入っているのに対して、日本の医療データの活用は第一歩をようやく踏み出したばかり」と位置付けた。