韓国Samsung Electronics社は2014年7月1日、報道機関やブロガー向けイベント「2014 Samsung SSD Global Summit」(2014年7月1~2日、韓国ソウル市)を開催し、3次元NANDフラッシュメモリー「Vertical NAND(V-NAND)」を搭載したSSDを一般消費者向けに発売すると発表した(リリース)。ハイエンド・パソコン向けで、SATA3.0インターフェース(データ転送速度6Gビット/秒)の2.5型品である。平面(プレーナー)構造のNANDフラッシュメモリー(プレーナーNAND)を搭載する従来のSSDに比べて、動作速度や書き換え回数、消費電力を改善した。2014年7月21日に販売を開始し、日本では同年7月下旬~8月初旬に発売する。同社はV-NANDを搭載したSSDのOEM供給を2013年12月に開始しているが、一般消費者向けの発売は今回が初めて。

V-NANDを搭載したハイエンド・パソコン向けSSD「Samsung SSD 850 PRO」。外形寸法は100mm×69.85mm×6.8mmで、最も重い1Tバイト品で重さは66g。
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展示コーナーに出展した「Samsung SSD 850 PRO」
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第2世代の3次元NANDを採用、メモリーセル積層数は32層

 イベントでは冒頭、Samsung社 Senior Vice President of Brand Product Marketing TeamのUn Soo Kim氏が登壇。「ビッグデータ時代を迎え、SSDの需要は増える一方だ。我々はV-NANDを活用し、業界を牽引するSSDを市場に投入していく」と述べた。

 V-NANDでは、プレーナーNANDを平面方向に微細化するという従来の手法に代えて、メモリーセルをウエハー工程で3次元方向に多段積層し、大容量化と低コスト化を実現する。併せて、従来の浮遊ゲート(多結晶Si)型のメモリーセルに代わる、チャージトラップ(SiN膜)型のメモリーセルを導入する。

 V-NANDではメモリーセルを多段積層する分、プレーナーNANDに比べて単位チップ面積当たりの集積度(ビット密度)を高められる。さらに、プレーナーNANDに比べて緩い設計ルール(最小加工寸法)を適用できることや、チャージトラップ型セルを使うことなどから、動作速度や書き換え回数、電力効率などの特性を高めやすい。V-NANDの設計ルールは30~40nmであり、設計ルールが20nmのプレーナーNANDに比べて、集積度と書き込み速度をいずれも2倍に高められるという。書き換え回数は2~10倍の向上、消費電力は半減を見込めるとしている。

 Samsung社はV-NANDを搭載した第1弾製品として、サーバー機/データセンター向けSSDのOEM供給を2013年12月に開始済み(関連リリース1関連記事)。今回は、一般消費者向けの製品にV-NANDを初めて採用した。

 加えて、V-NANDのコスト競争力を左右するメモリーセル積層数を、第1弾製品に適用した24層から32層へ増やした。Samsung社は32層積層品をV-NANDの第2世代と位置付けて2014年5月末から量産中であり、これをいち早くSSDに搭載した形だ(関連リリース2)。

登壇したSamsung社 Senior Vice President of Brand Product Marketing TeamのUn Soo Kim氏
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