東京大学や慶應義塾大学、早稲田大学らがオンライン大学講座を無料で実施しているというニュースをご覧になった読者は少なくないだろう。それでは、MOOC(Massive Open Online Course)というオンライン講座はご存じだろうか。

図1●「VLSI CAD Logic to Layout」の画面例 Rob A\. Rutenbar氏のスライド。
図1●「VLSI CAD Logic to Layout」の画面例
Rob A. Rutenbar氏のスライド。
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 米国サンフランシスコで行われた51st Design Automation Conference(DAC 2014、2014年6月1日~5日)では、MOOCによるEDA学習に関する講演があった。この講演は、5日のSKY(Short KYe note)の1つで、タイトルは「The First EDA MOOC: Teaching Design Automation to Planet Earth」(セッション99)である。講師はUniversity of Illinois at Urbana-Champaign教授のRob A. Rutenbar氏が務めた。

 同氏は米Carnegie Mellon Universityで長年、教鞭を取り研究を行ったほか、米Cadence Design Systems社のChief Scientistを務めたり、米Neolinear社というEDAベンダーを興したりもした。EDAワールドのレジェンドの1人と言える。そのRutenbar氏が2013年から実施しているEDAのMOOC講座の内容と受講状況が、今回の講演内容である。

 講演で同氏は、まず、MOOCの基本思想を説明した。すなわち、Internetを使い、クラウドベースの評価機能を持ち、修了証も授与しながら、100%無料である。そして、2013年3月に行った最初のEDAに関するMOOC講義(MOOCの一般的な利用方法であるCourseraのプラットフォームを利用)である「VLSI CAD Logic to Layout」の内容と結果を紹介した(図1)。

 同氏はCMUに在籍した25年のうち、20年で15回の「VLSI CAD Logic to Layout」の講義を延べ750人の学生に対して行った。内容はDesign Automationではあるが、DAやEDAという言葉は学生への認知度が低いため、CADというコース名にしたとのことだった。