東芝は、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon)型のフラッシュメモリーをプログラム素子に使うFPGAを考案し、「2014 Symposia on VLSI Technology and Circuits」(2014年6月9~13日、米国ホノルル)で発表した(講演番号T5.3)。講演タイトルは「Flash-Based Nonvolatile Programmable Switch for Low-Power and High-Speed FPGA by Adjacent Integration of MONOS/Logic and Novel Programming Scheme」である。

 米Xilinx社や米Altera社らが開発提供しているFPGAはほとんどがプログラム素子にSRAMを使っている(図1)。このためフィールドでの複数回の書き換えが可能で、プログラム済みのロジック回路は高速に動作する。しかし電源がオフになるとプログラム内容は消失するため、電源投入の度にプログラム内容をFPGA外にあるEEPROMなどからロードしなければならない。すなわち、SRAM式のFPGAは揮発性である。

図1●FPGAのプログラム方式と今回の技術の位置づけ 東芝のスライド。
図1●FPGAのプログラム方式と今回の技術の位置づけ 東芝のスライド。
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 ただし、市場にあるFPGAがすべて揮発性なわけでもない。電源が遮断しても再プログラムが不要な不揮発性FPGAもある。例えば、不揮発性のフラッシュメメモリーを混載した製品(フラッシュ混載式FPGA)。電源投入時にはチップ外ではなくチップ内に混載したフラッシュメメモリーから、SRAM式FPGA(FPGAファブリック)へプログラム内容をロードする。これで見かけ上(すなわち、チップの外側から見ると)、不揮発性FPGAとなる。東芝によれば、SRAM式FPGAを開発提供しているXilinxやAltera、米Lattice Semiconductor社などが、フラッシュ混載式FPGAも開発提供しているという。

 フラッシュ混載式FPGA以外の不揮発性FPGAもある。プログラム素子のフラッシュメモリーをロジック回路に直接使うもので(フラッシュ直接利用式FPGA)、代表的なFPGAメーカーは米Microsemi社(旧・米Actel社)である。東芝によれば現在市場に出回っているフラッシュ直接利用式のFPGAは、単体のNANDフラッシュメモリーチップでおなじみの浮遊ゲート型のフラッシュメモリーを使っていることが多いという。フラッシュ混載式FPGAに比べてチップ面積が小さいという利点があるものの、プログラム済みのロジック回路の動作速度が遅いという泣き所があったとする。