図1◎「クーガ」の実験車
図1◎「クーガ」の実験車
[画像のクリックで拡大表示]
図2◎直前をクルマが横切ることを検知すると、ディスプレーの一部が赤く点滅し警報とともに警告する
図2◎直前をクルマが横切ることを検知すると、ディスプレーの一部が赤く点滅し警報とともに警告する
[画像のクリックで拡大表示]
図3◎実験車の画面
図3◎実験車の画面
[画像のクリックで拡大表示]
図4◎専用のGPS受信機を搭載
図4◎専用のGPS受信機を搭載
[画像のクリックで拡大表示]

 米Ford Motor社は2014年6月3日から台湾・台北市で開催されている「COMPUTEX TAIPEI 2014」の会期中に、無線を使った車車間通信による安全技術をデモンストレーションした。

 台北市内の松山空港北側の一角の空き地に、市街地を模擬したコースを作り、見通しの悪い交差点において車両が接近していることを警告したり、コーナーを曲がった後に前走車が止まっていることを警告するデモを実施した。デモに使った車両はSUVの「クーガ」2台で、ドイツ人ドライバーが運転していた。

 Ford社は、カメラやレーダーを使ったADAS(先進運転者支援システム)は見通しがよい場所でしか使えないことが欠点だとする。一方、無線通信を使ったシステムは、通信できる距離に制限はあるものの、急な飛び出しなど見通しの悪い場所での事故削減に威力を発揮する。

 デモでは、5.9GHz帯を使った自動車用の無線通信規格「IEEE802.11p」に基づく通信方式を使っていた。通信できる距離は約150m。デモでは、無線通信に加えて、自車位置を正確に把握するため、車両の屋根に専用のGPSアンテナを搭載していた。

 デモの内容は2種類で、一つ目は見通しの悪い交差点での接近車を警告すること。もう一つは、前方で停止している車両を警告するものだ。いずれも、自動ブレーキとは連動しておらず、警報を鳴らして運転者にブレーキを踏むことを促す機能にとどめている。

 最初に実施したのは、自車が見通しの悪い交差点に向かっていくと、前方をクルマが横切るというもの。一時停止しないとぶつかるような場面だが、無線通信によりあらかじめ接近車を検出できるので、早めに警報を出して運転者のブレーキ操作を促す。次のデモは、コーナーを曲がった直後に、前走車が止まっているというシーンを再現し、コーナーを曲がる途中で前走車がいることを警告し、追突事故を防ぐ。