米国San Franciscoで開催中の51st Design Automation Conference(DAC 2014)の展示会で、韓国Samsung Electronics社がファウンドリ事業をアピールしている(展示会4日まで、学会5日まで)。その大きな武器になっているのが、米GLOBALFOUNDRIES社にライセンス提供した14nm FinFETプロセスである(日経テクノロジーオンライン関連記事1)。

Samsungのブース 日経エレクトロニクスが撮影。
図1●Samsungのブース
日経エレクトロニクスが撮影。
[画像のクリックで拡大表示]

 SamsungがDACに出展したのは今回が初めてでないが(同関連記事2)、出展を始めた頃はフラッシュメモリーやモバイル機器向けSoC、民生機器もアピールしていた。一方、今回のブースはファウンドリ事業一色になっていた。ブースの中でのプレゼンテーションに多くの聴衆が集まったり(図1)、GLOBALFOUNDRIES社への技術ライセンスをアピールする展示があったりした(図2)。台湾TSMCがプライベートイベントの「TSMC Open Innovation Platform(OIP) Ecosystem Forum」に軸足を移したり(同関連記事3)、GLOBALFOUNDRIESが独自ブースを構えない中で、Samsungのファウンドリ事業の存在感は大きかった。

マルチソースになったことをアピール 日経エレクトロニクスが撮影。
図2●マルチソースになったことをアピール
日経エレクトロニクスが撮影。
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は展示会初日の2日にプレスリリースを出し、14nm FinFETのファンドリ事業におけるパートナーとの結束を訴えた(ニュースリリース1)。例えば、英ARM社は、Samsungの14nm FinFETの回路ライブラリ(スタンダードセル)やメモリージェネレーターを「Artisan」ブランドの製品に加えた。ARMのJohn Heinlein氏(Vice President, Corporate Marketing)によれば、FinFETの回路ライブラリはTSMCの16nm向けに続くという。なお、Heinlein氏に「米Intel社のファンドリ事業向けの回路ライブラリを提供するか」と聞いたところ(日経テクノロジーオンライン関連記事4)、「今のところはない」との答えだった。

 また米Cadence Design Systems社とはRTL→サインオフのフローを確立していることを明らかにした。同フローはARMのプロセッサーコア「Cortex-A7」などを載せたテストチップの設計に使われた(同関連記事5)。

 米MentorとはDFMで手を組んだ。製造性解析やスコアリング技術のMAS(manufacturing analysis and scoring)がSamsungとGLOBALFOUNDRIESの14nm FinFETに対応したとMentorからも発表があった(ニュースリリース2)。なお、Mentorは、Intelの14nm FinFETファウンド事業での協力についても発表している(ニュースリリース3)。「Calibre DRC」などのEDAツールがIntelの同プロセスに対応した。