富士電機は、ハイブリッド自動車などの電動車両に向けた、直接水冷方式のIGBTパワーモジュールを「PCIM Europe 2014」で発表した。発表は大別して2つある。1つは、市販車に採用されたモジュールの実現技術(図1)。もう1つは、同モジュールよりもより小さく、軽い次世代モジュールである(図2)。
市販車に採用されたIGBTモジュールの最大の特徴は、ヒートシンクにアルミニウム(Al)を利用していること(関連記事)。一般的な銅(Cu)に比べて、軽くて安価、加工性が高いといった特徴を備える。
Alのヒートシンクは利点が多い一方で、課題もある。それは、パワー半導体素子が実装されたセラミック基板(Si3N4)との熱膨張係数の差が、Cuよりも大きくなることだ。このため、熱サイクル時にかかる応力が大きくなり、セラミック基板とヒートシンクとの接合部に利用したはんだにクラックが入りやすくなる。そこで新しいはんだ材料を新たに開発して適用した。
従来はSnAg系のはんだだったが、今回はSnSb系のはんだを利用した。加えて、「一般的なSnSb系はんだではなく、改良を加えたもの」(富士電機の担当者)だという。このはんだを利用したことで、Alのヒートシンクを利用しながら、車載用途に耐えうる信頼性を確保した。