図1 GaNパワートランジスタを利用したPFC
図1 GaNパワートランジスタを利用したPFC
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図2 SiCパワーモジュール。左が1200V品、右が1700V品
図2 SiCパワーモジュール。左が1200V品、右が1700V品
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 パナソニックは、パワー素子やパワーエレクトロニクス(パワエレ)機器分野の世界最大級のイベント「PCIM Europe 2014」に初めて出展した。さらに、併設のカンファレスにも登壇した。同社がPCIMでアピールしたのが、GaNやSiCを利用したパワー素子で構成した電源回路やモジュール品である。既存のSiパワー素子を利用した製品よりも性能が優れることを訴求する。

 今回は、GaNで2つ、SiCで1つの計3つの成果を主に発表した(図1、2)。それぞれについて、ブースで関連展示を実施するとともに、カンファレンスで特性や実現技術などについて解説した。GaNについては、耐圧600V級のGaNパワートランジスタを利用したPFC回路と、12Vを1.2Vに降圧するPOL(point of load)コンバーターを開発した。

 PFC回路の特徴は、小型かつ高速スイッチングが可能なこと。PFCで一般的な整流回路を省いた「ブリッジレス」と呼ばれるタイプのもので、整流回路が不要な分、回路を小型化できる。Siパワー素子でもブリッジレスPFCはある。例えば、Siのsuper junction(SJ)型MOSFETを利用したデュアルブースト型のブリッジレスPFCである。パナソニックによれば、デュアルブースト型では、高価なSiCのショットキー・バリアー・ダイオード(SBD)が必要、大型のリアクトルが2つ必要、といった課題がある。これに対して、パナソニックのGaNパワー素子を利用したトーテムポール型のブリッジレスPFCであれば、SiC SBDが不要で、インダクターは1個で済むという。

 GaNパワー素子を利用したトーテムポール型のブリッジレスPFC中でも、高速スイッチングが可能で、かつより大きな電流を出力できる点を特徴にうたう。具体的には、ターンオン時のスイッチング速度で、170V/nsを実現した。これは、高速なスイッチングが可能となる、面実装型のSiのSJ型MOSFETを利用した場合よりも、約1.7倍速いとする。