講演後の休憩時間などに、試作機のデモを実施した
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講演の様子
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 2014年5月26日に開催された「次世代医療機器サミット2014」(主催:日経デジタルヘルス)では、「体調急変対応技術の開発」と題して、トヨタ自動車 性能実験部人間工学開発 兼 技術統括部の牧口実氏が講演した。同氏が紹介したのは、自動車のステアリングを利用して運転者の心電や脈波を測定し、運転中の体調急変の予兆を検出するシステムである(関連記事)

 牧口氏はまず、運転中の突然死による事故の事例などを挙げた。そして、運転中の突然死の原因としては、循環器系の急変によるものが80%以上を占めるとのデータを示した。その上で、こうした循環器系の急変に対応するためには、自律神経系の活動を把握することが重要だとした。

 そこで開発を進めているのが、ステアリングを利用した心電などの計測システムである。ステアリングに心電計測用の電極と脈波計測用の光センサを搭載しており、運転者がステアリングを握ることで心電と脈波を連続計測・記録できる。これらの計測データをリアルタイムに解析(心拍変動解析)することで、体調急変の予兆と見られる特異なパターンを見いだせるという。デンソー、日本医科大学と共同で開発している。

 今後は、この技術を利用して、体調急変の予兆を発見した段階で安全に自動車を停止させるなどの制御を実現するシステムにつなげていきたいとする。課題の一つとしては、計測の個人差を挙げた。例えば、ステアリングの握り方のくせや、加齢変化による皮膚抵抗の増加などによって個人差が生まれてしまうという。

 講演会場では、デモ機を披露した。講演後には、実際の計測の様子を確かめようとする来場者が集まった。