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 2014年5月26日に開催された「次世代医療機器サミット2014」(主催:日経デジタルヘルス)では、「韓国の次世代医療機器・最前線 ~遠隔診療が可能に、『ソフトウエア=医療機器』にあらず、ヘルスケアスマホなど~」と題して、ITジャーナリストの趙章恩氏が講演した。

 趙氏は大きく、医療機器関連産業の拡大に尽力する韓国政府の動きと韓国企業の動きについて紹介した。このうち韓国企業については、Samsung Electronics社の取り組みが目立つと指摘。同社は医療関連事業に注力することを既に公言しているが、2014年4月には、あらためて同社の副会長が「我々の新成長動力として医療・ライフケアに力を入れる」と中国のフォーラムで宣言したという。同社は2024年に医療機器分野で世界1位になることを標榜しており、特にITを融合した医療機器の開発に注力していると趙氏は説明した。

 その一環として、Samsung Electronics社はスマートフォンを活用したスマートヘルスケアの領域にも力を入れている。これに関して趙氏は、同社が韓国で2014年4月に発売した心拍数計測機能付きのスマートフォン「GALAXY S5」に触れた。

 こうした端末はこれまで、医療機器に分類され、キャリアの代理店ではなく医療機器専門店でしか販売できなかったという。しかし、2014年4月8日に食品医薬品安全処が「医療機器品目及び品目別等級に関する規定」を改定し、運動・レジャー目的の心拍数計測機能を備えるスマートフォンは医療機器ではないと規定されたと趙氏は説明した。

 この動きに対して韓国内では、「これはSamsung Electronics社のための法改定ではないか」という声も挙がっているという。ただし、背景にどのような動機があったとしても、こうした法改定はさまざまな韓国企業の医療・ヘルスケア事業の拡大を後押しすることにつながるだろうと趙氏は指摘した。