パナソニック モノづくり本部 生産技術開発センター 生産技術研究所 グループマネージャの寺西正俊氏
パナソニック モノづくり本部 生産技術開発センター 生産技術研究所 グループマネージャの寺西正俊氏
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 「パナソニックでは、金型分野にレーザー焼結積層法を適用している。技術の流れに逆行するが、この工法に切削加工を組み合わせている」。2014年5月12日に東京都内で開催の「3Dプリンティング・シンポジウム ―― 世界を変える“ものづくり革新”の実像に迫る」に登壇したパナソニック モノづくり本部 生産技術開発センター 生産技術研究所 グループマネージャの寺西正俊氏は、同社における3Dプリンティング技術の展開例として金型分野での取り組みを紹介した。

 同氏によれば、パナソニックが金型分野にレーザー焼結積層法を適用するのは、金型加工の革新によってグローバル競争力の高い金型を実現するため。ただ、レーザー焼結積層法には、従来の金型の加工法に比べて造れる形状に制約が少ない(形状自由度が高い)という利点があるものの、仕上がりの精度も粗さも100μm程度で不十分という問題があった。

 そこで、同社が考え出したのが、切削加工を組み合わせる新工法(積層複合加工)だ。具体的には、工具の首下長さに相当するぐらいの厚みだけレーザー焼結によって積層したら、その輪郭を工具で機械的に切削する。そして、それを所定の形状が出来るまで繰り返すという方法だ。同氏によれば「ドライ切削(切削油を使わない切削)でバリを取るぐらいのイメージのもので、切削の負荷はそれほど大きくない」。これにより、仕上がりの精度は10μm、表面粗さは5μmまで向上できるという。