「目標は、欧州のUHDテレビ販売でトップ3のブランドになることです」――。中国の大手液晶テレビメーカーであるTCL社の欧州法人「Europe TCL Marketing」でDirecterを務めるAntoine Salome氏は言った(図1)。「ユーザーがテレビに望む条件は、第1に画質、次にサイズ、デザイン、接続性、3D機能という順番です。われわれもこの優先順位で設計しています」(図2)。
野望の源泉が垂直統合力だ。バネル製造子会社のChina Star Optoelectronics Technology社(CSOT、華星光電)は、第8.5世代(2200mm×2500mm)のマザーガラス基板を毎月13万枚投入できる能力を持つ、世界第3位のパネルメーカーだ。
「他社は水平分業ですが、われわれは垂直統合でより高性能、新分野、コストに強い最終製品を作れるのが最大の強みです」。この2番目の魅力条件である「サイズ」のショーケースがCSOT製造になる110型の世界最大級4K×2Kパネル。8.5世代マザーガラスを2分割して作製したものだ。これまで「FPD International」などの専門展示会ではお披露目されていたが、肝心のTCL社のテレビ製品化計画は不明だった。
今回、Antoine Salome氏は具体的な商品化計画を明らかにした。ユニークなのが、「若者向けテレビ」として110型4Kテレビを発売すること。TCL社は、欧州市場ではダブルブランドで4Kテレビを展開する。1つが、35歳以上のファミリー層をターゲットにした「THOMSON」ブランド。4月に85型、55型、49型の4Kテレビ、「Z8766」シリーズを発売した。85型は約9000ユーロだ。
もう1つのブランド「TCL」は、20~35歳の若い層に向けたテレビだ。110型は「JUMBO UHD TV」シリーズとしてTCLブランドで、若者向けに売られるのだ。若者がこんな大きなテレビ(価格未定だが、当然高価)を買うのかは疑問だが。Jumboシリーズは110型、85型、75型で構成する(図3、図4)。「これほどの大きな画面サイズのテレビが作れるのは垂直統合だからです」とAntoine Salome氏。9月の「IFA 2014」での110型の曲面型4Kテレビの発表も予告した(図5)。これまで筆者が展示会で試作パネルを見た限りでは、問題は画質である。本番製品はどうか。