ITEM 2014に出展した放射性医薬品合成設備「FASTlab」
ITEM 2014に出展した放射性医薬品合成設備「FASTlab」
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 GEヘルスケア・ジャパンと日本メジフィジックスは、PET検査に使うβアミロイド検出用薬剤「Flutemetamol」の国内での開発に向けた協力体制を構築した(リリース1)。「2014国際医用画像総合展(ITEM 2014)」(2014年4月11~13日、パシフィコ横浜)で関連展示を行った。

 βアミロイドはタンパク質の一種で、アルツハイマー病などの認知症患者の脳内に見られる老人斑の主成分である。脳内でβアミロイドが蓄積される現象はアルツハイマー病の特徴とされ、脳内に蓄積されたアミロイド斑は脳神経に悪影響を及ぼすといわれている。Flutemetamolは、βアミロイドの沈着を画像化するための薬剤として開発され、米国では既に米GE Healthcare Inc.が医薬品としての承認を取得済み。現在、保険収載に向けた検討が進んでいる。

サイクロトロンを持たない医療機関でも薬剤を入手可能に

 GEヘルスケア・ジャパンは今回、Flutemetamolを国内で開発するための手続きに着手した。同社が販売中の放射性医薬品合成設備「FASTlab」にFlutemetamol合成用カセットを追加するために、2014年3月20日付で医療機器の一部変更承認申請を行った。これはサイクロトロンを備える医療機関でのFlutemetamol合成に向けるものである。

 日本メジフィジックスは、Flutemetamolの医薬品としての国内承認申請を担う。同社は住友化学とGEヘルスケアの共同出資会社であり、2014年3月26日付で英GE Healthcare Ltd.とライセンス契約を締結した。日本メジフィジックスが国内で供給している他のPET検査用放射性医薬品と同様に、全国に所在する同社の製造拠点からFlutemetamolを供給できる体制を構築する。これにより、サイクロトロンを用いた薬剤合成装置を持たない医療機関でも、同剤を使ったPET検査が行えるようになる。

 両社は協業を通じて、Flutemetamolを用いたPET検査の普及を促進する狙い。診断薬を調達しやすい環境を整えることで「アルツハイマー病の治療薬の開発が加速する」(GEヘルスケア・ジャパン 代表取締役社長兼CEOの川上潤氏)とみる。なお、GEヘルスケア・ジャパンは2014年3月に、放射性医薬品合成設備の国内販売に関して、JFEエンジニアリングおよびユニバーサル技研と提携を結んでいる(リリース2)。