展示ブースの様子
展示ブースの様子
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 仏Dassault Systemes社は拍動する心臓の3次元モデルを開発し、「MEDTEC Japan 2014」(2014年4月9~11日、東京ビッグサイト)に出展した。医療用デバイス/機器の開発などの用途に向けて、今後3年以内をメドにソフトウエアとして製品化する計画である。

 心臓は「モデル化の難度が高い器官。標準的な3次元モデルはまだ開発されていない」(ダッソー・システムズ)という。今回開発したのはこの標準モデルを目指した、心臓の3次元有限要素モデルである。「The Living Heart Project」と呼ぶ社内プロジェクトで開発を進めている。

 心臓の3次元構造をモデル化する手法としては従来、3Dプリンターを用いる方法などが提唱されている。対して、心臓の3次元構造と動きをソフトウエアで再現する今回の手法では、デバイスや機器の開発に欠かせないさまざまな検証をソフトウエア上で仮想的に行うことができる。例えば、心臓にペースメーカーを埋め込んだときに心臓の機能がどう変化するかを、事前にシミュレーションできたりするわけだ。こうした利点から、医療用デバイスや機器の開発に要するコストや期間を削減できる可能性がある。

 展示ブースでは米Z Space社の3次元映像システムを用いて、拍動する心臓をディスプレーに3次元表示して見せた。専用のメガネを掛け、ディスプレーと連動するペンを動かすことで、心臓のさまざまな方向からの切断面を観察したりできる。

 今後1~2年をかけて、開発したモデルが実際の心臓の3次元構造や機能をどれほど忠実に再現しているかを、特定顧客と共同で検証していくという。その上で、大学病院などに納入したい考え。心臓手術の事前シミュレーションなどにも使える可能性があるとしている。

■変更履歴
記事初出時、社名を「Dassault Systems」としていましたが、正しくは「Dassault Systemes」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。