展示ブースの様子
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分光解析の結果
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イメージング解析の結果
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 アドバンテストは、「MEDTEC Japan 2014」(2014年4月9~11日、東京ビッグサイト)の併設展示会である「原薬-中間体 機器/装置展」に、テラヘルツ波を用いた分光/イメージング装置を出展した。創薬分野で採用実績が増えているという。

 テラヘルツ波は電波と光の中間的な周波数を持ち、材料の非破壊解析などに威力を発揮する。アドバンテストは約5年前にテラヘルツ波を用いた分光/イメージング装置を市場投入した。その用途は幅広い。発電所のタービンのコーティング材料や航空機の塗装材料の解析、高速無線通信用セラミック基板の解析などがあるという。従来は「新企画商品開発室」で手掛ける製品だったが、事業拡大に向けて2014年4月に「テラヘルツシステム事業部」を立ち上げた。

 創薬分野での用途は大きく二つある。一つは錠剤の分光解析、もう一つは錠剤のコーティング膜のイメージング解析である。近赤外光よりも錠剤の深部までを測定できたり、散乱が少なくパルスの反射情報から膜厚を解析できたりするといった、テラヘルツ波の特徴が生きる。

 後者のイメージング解析では、錠剤をコーティングする糖衣やフィルムコート材の膜厚分布を可視化できる。コーティング剤の膜厚設計は、創薬プロセスでは重要な意味を持つという。錠剤が胃に届いた時点でちょうどコーティング剤がすべて溶け、薬効を発揮することが重要だからだ。コーティング剤が薄すぎたりすると、錠剤が食道を通過中にコーティング剤が溶けきってしまう。

 アドバンテストは、創薬分野向けの最新機種を2014年3月に発売。従来の上位機種の価格が3000万円程度だったのに対し、今回はスキャン速度を多少落として価格を1600万円程度に抑えた。「もう少し価格が安ければぜひテラヘルツ波を使いたい、という多くの声に応えた」(アドバンテスト)とする。

■変更履歴
記事初出時、第2段落でテラヘルツ波の説明を「電磁波と光の中間的な性質を持ち」としていましたが、「電波と光の中間的な周波数を持ち」が適切な表現でした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。