ドイツ・ドレスデンで開催されていた「DATE 14:2014 Design, Automation and Test in Europe」(2014年3月24日~28日)の最終日最後のタイムフレームの目玉は、「セッション12.1 Hot Topic:The Future of Interfacing to the Natural World」だった。我々が暮らす世界での現象をどのようにしてとらえるか、という視点で4件の講演があった。
4件の中で特に興味深かったのが、ベルギーIMECのRudy Lauwereins氏(Vice President)の講演である。タイトルは「Interfacing to Living Cells」だった。同氏は、まず、「インターネットにつながる計算機が500億台になっても、そのインターフェースは初期のキーボードとディスプレイとあまり変わらないものが多い」ということをスマートフォンの画面で紹介した。その後で、「センサーとアナログ/デジタル半導体、無線、および電力管理デバイスによるシステム化が今後のトレンド」だとして、IMECの成果を3件紹介した。
1件目は血液検査で、その検査手法は「がんに二度目のチャンスを与えない:Do not Give Cancer a Second Chance」を目標としている。がんは心臓疾患と並んで、人間の死因の上位にある。治療コストが高く、社会的経済的損失が極めて大きい。このため、がんの早期発見・治療は経済的に極めて有効な手段であると、同氏は説明した。
IMECのがん検査用の血液検査デバイスは、人間の血液を細い穴に通し、三次元画像処理でがん細胞を検出し、高温のバブルジェットによりがん細胞を別の分岐に追い込み、人間の体に戻さない(写真1)。このシステムは1秒間に2000万個の細胞を検査可能だという。