図●電気通信大学情報理工学部総合情報学科准教授の梶本裕之氏
図●電気通信大学情報理工学部総合情報学科准教授の梶本裕之氏
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 「なぜ、こんなにインターフェースが重要だとみんなが思っているのか。それは、我々が浴びなければならない情報の量が格段に増えており、それを認識し選択(運動)することを求められているからだ」。電気通信大学情報理工学部総合情報学科准教授の梶本裕之氏は、2014年3月20日開催のセミナー「クルマや医療・介護を変える『入力革命』」(「FPD International 2014」第1回セミナー)に登壇し、こう語った(図)。

 同氏によると、インターフェースとは、認識と運動を接続するもの。直感的とされるインターフェースの大半は、運動を引き出すものとなっているという。通常は、認識(理解)して運動(行動)するという流れになるが、直感性の高いインターフェースでは、行動しながら理解することが可能なものもある。そして、これからのインターフェースでは、そうしたこと、すなわち運動と認識をシームレスにつなぐことが重要になるという。例えば、絵を描くためのインターフェースでは、描いたという事実を認識しつつ、次を描き進めるという行動がシームレスにつながってこそ、違和感のないものになる。

 また、場合によっては認識を飛ばして運動させる、といったインターフェースも求められると、同氏は指摘する。例えば、大勢の人に右側通行してもらいたいとする。こうした場合、それぞれの人が無意識に右側通行してくれれば、都合がいい。説得して納得してもらう面倒がないからだ。では、それは可能なのか。同氏によれば、そのための1つの方法が、地面にプロジェクターで縞模様を進行方向と平行になるように投影し、その縞模様が徐々に右側に流だ。同氏らは、実際には、床板にレンチキュラーレンズを形成して縞模様が動いているように錯覚させるという手法を採ったが、その床板を見て犬が立ち止まるという一定の効果はあったとしている。

 さらに、同氏は「運動した気にさせるインターフェースも重要」と話す。例えば、バンダイの大ヒット商品「∞プチプチ」がその典型。川上産業の緩衝材「プチプチ」をつぶす感触を再現したおもちゃだが、そうしたインターフェース部分を作り込むことで多くの消費者に受け入れられた。