講演の様子
講演の様子
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 NEC グリーンプラットフォーム研究所 主席研究員の大橋啓之氏は、2014年3月20日に開催されたセミナー「クルマや医療・介護を変える『入力革命』」(JA共済ビル、主催:日経テクノロジーオンライン)で講演した。講演タイトルは「センサーシートでやさしく見守る」である。

 センサーシートはNECが2013年11月に発表した技術。弱い電磁波を用いた独自のシート型センサーと解析技術を組み合わせて、カメラを用いることなく、人やモノの形状と動きを把握するというものだ。公共施設などで、プライバシーを配慮しつつ高齢者などの異変を早期に発見できるという。

 人やモノをセンシングする技術としては、赤外線センサーや超音波センサーなどが提案されている。ただしこれらはコストに課題がある。例えば、単価が数百円ほどするこれらのセンサーを数m四方の空間に敷き詰めると、センサー代だけで数百万円を要してしまう。

 そこでNECは、人やモノを低コストでセンシングする技術として、弱い電磁波を用いる安価なセンサーシートを開発した。同シートはアンテナシートとセンシングポイント、保護カバーから成り、床や棚に設置して使う。シート上に人やモノが来るとシートが発する電磁波が乱され、その乱れ具合を検出する。そして複数の場所の電磁波強度から、人やモノの形状や動きを把握する仕組みだ。センシングするポイントを低コストで高密度に敷き詰められる点が大きな特徴である。

 講演では、センサーシートを小売店の棚商品の検出や、行列人数の検出、人が倒れた場面の検出などに適用した実験例を示した。介護分野への応用を想定し、車椅子と介助者を区別して検出することにも成功しているという。