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「目指すは、みんなが健康でいきいき生活できる社会」、東芝の西原氏

2014/03/18 15:19
富岡 恒憲=日経テクノロジーオンライン
図●東芝 ヘルスケア事業開発部 担当部長(事業統括)の西原栄太郎氏
図●東芝 ヘルスケア事業開発部 担当部長(事業統括)の西原栄太郎氏
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 「みんなが健康でいきいき生活できる社会。その実現を支援することが、東芝のヘルスケア事業が目指す姿だ」。2014年3月18日開催のセミナー「デジタルヘルス・サミット ~デジタルヘルスの未来2014~」(主催:日経デジタルヘルス)において、「ヘルスケアを第3の事業の柱に~今後の取り組みの方向性と活用する技術について~」というテーマで講演した東芝 ヘルスケア事業開発部 担当部長(事業統括)の西原栄太郎氏はこう語った(図)。

 同氏によれば、東芝ではこの目標を達成すべく、「診断・治療」「予防」「予後・介護」「健康増進」を4つの柱としてヘルスケア事業に取り組んでいる。中でも、診断・治療で目指しているのは、病気を早期に発見し、負担が少なく患者に優しい診断・治療機器を提供すること。例えば画像診断システムでは、単に高画質化を図るだけではなく被ばく低減技術を標準搭載するように変えたり、重粒子線がん治療システムを開発することで切らずに治せるガンの対象を広げたり、体に負担をかけずに簡単かつ素早く検査を実施できる高感度ウイルス検査キットなどを開発したりしているという。

 予防という観点から東芝が目標としているのは、「個々人の健康状態を常に確認し、将来を予測し、病気の発症リスクの軽減につなげること」だ。病気には生活習慣によるものや遺伝的なものなどがある。そうした病気発症の因子を知って個人の将来の健康状態を予測できるようになれば、病気の発症リスクを低減できる可能性がある。

 そこで東芝が開発を進めているのが、普段の生活の中で生活因子をさりげなく計測できるセンシング技術や、より短時間かつ低コストに遺伝的因子を解明できるようにする日本人向けのゲノム解析用アレイチップ、各種のセンシングデータなどから将来の健康状態を予測するビッグデータ解析の技術などだ。ゲノム解析用アレイチップは日本人向けとすることで、解析対象とするデータ量を1/3000に絞り込むことができ、短時間で低コストの解析を可能とする。

 生活習慣病のリスクが高い人々に対しては、現在でも生活指導が実施されている。しかし、指導する側からは対象者が指導通りに運動や食事に気をつけているかどうかは分からない。普段の生活の中で生活因子をさりげなく計測できるセンシング技術が確立されれば、そうした情報を指導する側がチェックすることが可能になり、指導の内容をより適切なものに改善できる可能性があるという。

 予後・介護については、東芝は「安心して自宅で生活できるように、家族や介護者の負担を軽減するサービスを提供する」ことを目標としている。その主な対象は、シニア向けの在宅支援と予後の在宅ケアの支援という。中でも同社が強く意識しているのが、元気なシニア世代を応援することである。例えば、離れて暮らす家族がシニア世代の健康状態を見守ったり、シニア世代と離れた家族の間でより簡単にコミュニケーションを取れるようにしたりするなど、社会とのつながりを大切にできる環境を構築することという。

 さらに、西原氏によれば、介護の現場は多職種連携の典型。多くの職種の人々が少ないストレスで必要な情報を共有できる仕組みを提供することも重要だという。同社では、スマートフォンを活用し、つぶやくだけで音声を簡単に入力でき、かつ音声として情報を共有できる他、音声認識技術により請求書やレポートに利用可能なテキスト情報も残せる技術を開発しており、現在は実証実験中という。

 最後の健康増進に関しては、きれいな空気、安全な水や食材の提供を支援することが目標だ。吹き付けるだけで消臭できるスプレーの技術や、限られた光量で菌やウイルスを分解できる光触媒の技術、小型の浄水装置の技術、植物工場の技術などを活用して、そうした支援を実施していこうと考えている。