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細胞が分子を検知する仕組みを応用して高感度のセンサーを開発

2014/02/21 19:24
木崎 健太郎=日経ものづくり
講演する東京大学生産技術研究所准教授の竹内昌治氏
講演する東京大学生産技術研究所准教授の竹内昌治氏
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 東京大学生産技術研究所准教授の竹内昌治氏は、2014年2月21日に開催された「Trillion Sensors Summit Japan 2014」において「BioMEMSが拓く医療・環境センサ」と題して、生体の仕組みを応用したセンサーと、生体に埋め込める微小センサーの2つについて講演した。

 生体の仕組みを応用したセンサーは、生体内の細胞が特定の分子を選択的に検知し、似た構造の分子を区別する仕組みを利用するもの。極めて少ない量の分子を検知でき、例えば食品のにおいを検知して鮮度や安全性を調べたり、自然環境中の有害物質を検知したりする環境センサーへ応用できるという。

 細胞は脂質の分子が2層構造になった膜(脂質2重膜)で覆われており、そのところどころに特定の分子に反応する膜たんぱく質が膜を貫通するように存在する。膜タンパク質に特定の分子が付着すると、膜タンパク質が広がって内部に穴ができ、脂質2重膜の表裏を連絡する。脂質2重膜の表裏に電位差があれば、この穴を通して大量のイオンが流れる。1個の分子が107個程度のイオン分子の移動を引き起こすため、このイオンの流れを検知することで、極めて微量の分子を感度良く検知できることになる。

 このようなセンサーをつくるには脂質2重膜が必要だが、既に効率良く簡単に造る方法を開発した。水中に脂質を垂らして単層の膜で囲まれた小さなドロップを作り、これを2個接触させれば、接触部分が2重膜になる。ここに膜タンパク質を組み込めばよい。どこでも簡単に造れることを証明する試みの一つとして、富士山の頂上で脂質2重膜に膜タンパク質を組み込む実験を実施した。

 この仕組みに加えて、特定の分子に絡みつくDNAを用いて、分子の濃度を検出できる仕組みも考案し、実験している。例えば、麻薬の分子が一定濃度存在することを検知することが可能になる。このようなセンサーは、10年後くらいまでに実現できるのではないかという。

 竹内氏は10年後よりももっと先の話として、生体に埋め込む微小センサーについても説明した。例えば血糖値を24時間連続的に計測することを可能にする。糖尿病では血糖値のコントロールが極めて重要だが、現在は1日4~5回血糖値を測定するたびに、指先を針でつついて血液を少し出さなければならない。このような苦痛を伴う作業なしで、もっと連続的に計測したいというニーズがある。

 竹内氏の方法は、ブドウ糖分子が結び付くと蛍光を発する分子を利用し、これをゲル状の物質で直径100μm程度に固めてマイクロビーズを作り、生体内に注射器で注入するというもの。血糖値に応じて蛍光の強さが変わる様子を生体の外から観測する。ただしマイクロビーズは時間の経過にともなって生体のどこかへ行ってしまうことが分かり、細い繊維に固める方法も考案した。必要がなくなれば引き抜けばよい。

 血糖値に限らず、血圧や心拍数などのさまざまな指標を24時間測定し、それぞれの相関を研究することで、より効率的かつ的確に疾病を防いだり、状況をコントロールしたりできる可能性があるという。

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