東京大学名誉教授の藤野陽三氏
東京大学名誉教授の藤野陽三氏
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 「社会インフラは、造る時代から使う時代、さらに維持・管理する時代に変わってきた。だが、(老朽インフラの)全てを(修復の)対象とすると、リソースもコストも膨大にかかる。(対象を絞り込むには、)状態の悪いところを見つける必要がある」。2014年2月20日、東京で開催されたセミナー「Trillion Sensors Summit Japan 2014~1兆個のセンサが医療/農業/建物/交通を覆う~」に登壇した東京大学名誉教授の藤野陽三氏は、インフラモニタリングの重要性についてこう語った。

 インフラモニタリングが大切なのは、点検だけでは気づけないようなことが分かるからだ。同氏によれば、「点検とは変化を見るもの。何も変化がなければパスしてしまい、もともと悪いところは見逃してしまう」。

 その一例として同氏が挙げたのが、米国ミネソタ州ミネアポリスで起こった高速道路の橋の崩壊事故。この橋はある部分から折れ曲がるようにして崩落した。原因は「設計ミス」(同氏)。折れ曲がったところの板が薄かったためだが、変化を見る点検ではそれが分からなかった。

 同氏によれば、設計や施工がもともと悪かったり、想定外の挙動を示したりする場合に大事故につながるケースが多い。モニタリングによって、そうしたところを探し出せれば、事故を未然に防ぐことが可能になる。