中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 教授の竹内健氏らの研究グループは、抵抗変化型メモリー(ReRAM)とNANDフラッシュメモリーを組み合わせたデータセンター向けのハイブリッド・ストレージ・システムにおいて、信頼性や速度、寿命などを大幅に改善できるコントローラ技術を開発した。詳細を「International Solid-State Circuits Conference(ISSCC)2014」(2014年2月9~13日、米国サンフランシスコ)で発表した[講演番号:19.6]。講演タイトルは「Hybrid Storage of ReRAM/TLC NAND Flash with RAID-5/6 for Cloud Data Centers」。

今回の測定システム
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 ビッグデータのリアルタイム解析などの用途では、高速・大容量のストレージ・システムが必要になる。現状では主にNANDフラッシュメモリーが利用されているが、今後は高速の不揮発性RAM(ストレージ・クラス・メモリー)とNANDフラッシュメモリーを組み合わせたハイブリッド・ストレージが必要になると竹内氏らはみている。今回、ストレージ・クラス・メモリーの候補として高速・大容量化が見込めるReRAMを選択し、ハイブリッド・ストレージの信頼性や速度、寿命を改善するため、ReRAM向けに三つの技術、TLC(triple level cell)NANDフラッシュ向けに二つの技術を開発した。

コントローラのアーキテクチャー
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 ReRAM向けに開発した技術は、(1)「Flexible RRef(FR)」、(2)「Adaptive Asymmetric Coding(AAC)」、(3)「Verify Trials Reduction(VTR)」の三つ。(1)と(2)はビットエラー率を低減させる高信頼化技術であり、(1)と(2)を組み合わせることでビットエラー率を従来に比べて69%低減できた。(3)は高速化技術であり、リセットにかかる時間を従来に比べて97%低減できた。

 TLC NANDフラッシュ向けに開発した技術は、(4)「Balanced RAID-5/6」、(5)「Bits/Cell Optimization(BCO)」の二つ。(4)はRAIDの故障率を低減する高信頼化技術であり、TLC NANDを用いたRAID-6構成の場合に故障率を従来に比べて98%低減できた。(5)はTLC NANDの寿命を延ばす技術であり、従来に比べて22倍の長寿命化を実現した。

五つの技術と改善効果
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 以下では、それぞれの技術について説明する。