Intel社のEden氏の講演
Intel社のEden氏の講演
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Intel社のブース。RealSenseをアピール
Intel社のブース。RealSenseをアピール
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Samsung社のブース。曲面テレビをずらりと並べた
Samsung社のブース。曲面テレビをずらりと並べた
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ソニー社長の平井氏の講演の様子
ソニー社長の平井氏の講演の様子
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 米ラスベガスで2014年1月7~10日に開催された「2014 International CES」。今回のCESで各社に共通するキーワードがあった。それが“Immersive”だ。日本語には訳しづらいが水のなかにどっぷりと潜ったような感じを言う。CESではデジタル世界と現実世界の垣根がなくなり、この混在した世界にユーザーが浸かる感覚を表す言葉として使われていた。言い換えれば、機械が機械の殻を脱して、より人間の感覚に近いところに近づいてくることでもある。

 Immersiveという言葉を多用していたのが、米Intel社だ。同社のはCESの会期の前日の同年1月6日のIntel社の報道機関向けイベントでは、Senior Vice President, General Manager of the Perceptual Computing GroupのMooly Eden氏が登壇し、今後はヒトの感覚器に近い機能を持ったコンピュータが主流となっていくことを熱弁した(Tech-On!の関連記事)。

 さらに、同夜の基調講演にはIntel社の新社長Brian Krzanichが登場し、2013年とは打って変わって、パソコンに関しては触れることなく、それを超えた技術の変化をプレゼンし、インテルが目指す「PC世界を超越した体感・感覚の世界」を示した(基調講演の動画)。

 この二つの講演で明らかになったIntel社の目指す方向性は、「RealSense」(直観、実感、感覚的な世界)である。これはスマートフォンなど周辺の技術革新が劇的に進んだ結果、多くのキーコンポーネントが格段に容易に活用できるようになったことにある。利用できる処理速度を増したマイクロプロセサ、カメラモジュール、各種センサー部品、電池などの存在がある。このRealSenseと共通する体感、感性の概念は、Inel社だけにとどまらず、今回のCESの会場では随所に窺え、会場の全体をそうした雰囲気が覆っていた。
 
 韓国Samsung Electronics社の曲面テレビのデモでは、大画面を曲面にすることで包みこまれるような感覚が得られるとして、やはりImmersiveな体験を前面にアピールしていた。

 さらに、CES開幕の日に行われたモバイル業界のトップによるパネルディスカッション「Technology Inovators- FutureCast: Global Innovation of Mobile」でも、やはりImmersiveな世界観が議論された。登壇したのは、スウェーデンEricsson社CEOのHans Vestber氏、米Qualcomm社CEOのPaul Jacobs氏、米AT&T社Senior EVPのJohn Donnovan氏である(パネルディスカッションの動画)。

 このディスカッションの中で、Qualcomm社のJacobs氏が述べたのがウエアラブルの次の段階。機械がヒトに一方的に通知するのではなく、センサーが外界とヒトの両方をセンシングし、ヒトはデジタル世界と現実世界を意識することなく、往来するというステージだ。これはIoE(Internet of Everything)とも密接に関係しているという。まるでSF世界のようでもあるが、技術的には実現できる段階に至っており、目前に近づいているとした。

 基調講演の壇上に立ったソニー 社長の平井一夫氏もImmersiveの世界観を表したものだった。同氏は、基調講演の最後で「Life space UX」という新しいコンセプトを提唱。壁や鏡、机といった様々な場所に映像を投影し、利用者のいる空間そのものをデジタル情報で変化させる世界を描き出した。