Samsung Electronics社のBDプレーヤー内蔵のマルチチャンネルシステム
Samsung Electronics社のBDプレーヤー内蔵のマルチチャンネルシステム
[画像のクリックで拡大表示]

 Blu-ray Disc(BD)が4K対応へ進む。規格策定団体「Blu-ray Disc Association(BDA)」では今、どのように検討されているのか。関係筋に当たり、最新情報が分かったので、お伝えしよう。

 まず基本的に、BDが4Kを取り入れる。DVDからハイビジョンメディアへ転換する時は、HD-DVDとBlu-ray Discとの選択があったが、2Kから4Kへの転換では、フォーマット戦争は起こらない。BD自体が4Kに対応するのである。BDAは2013年6月にフォーマット拡張用の検討タスクフォースを幹事の18社でスタート。その後、より子細に検討するために、秋にUHDタスクフォースとして再編成した。

 基本的な仕様は大体固まっている。レーザーはBDと同じ青色レーザーで、直径12cm、多層記録可能というのは従来のBDと同じだ。ディスクに記録する動画の圧縮技術の標準規格は、BDではMPEG-2、AVC、VC1だったが、4K対応BDではHEVCだ。世界の放送用、動画配信用のコーデックがHEVCで統一されているので、これはHEVCで決まりだ。その他、今後、詰めなければならないポイントを挙げよう。

「どんどんコピーしてほしいBD」へ

 (1)「デジタルブリッジ」という新しい概念。米Apple社、米Amazon.com社、米Google社などが米国の配信市場の“大宗”を獲得しているが、ハリウッドスタジオ側の配信サービスはあまり伸びていない。そこで、最近のハリウッドスタジオ側は、自分たちの仕切りで「BD → ホームサーバー → 携帯機器の視聴」というエコシステムを作りたいという意見で一致している。その模範がCD(Compact Disc)だ。CDはコピー可能であり、コピーした音楽をさまざまな携帯型プレーヤーで聴ける。パッケージメディアから携帯端末へのエコシステムが出来ているから、CDは今日まで生き残っているとスタジオ側は見ているのである。

 新しい4K対応BDプレーヤー(レコーダー)では、従来のBDと新しい4K対応BDがサーバーに(レコーダーの場合は内蔵のHDDに)デジタルコピーできる。BDだけでなく、配信からサービスのコンテンツもコピー可能である。とはいえ、消費者の分かりやすさという点ではパッケージメディアが有利だと、スタジオ側はみている。これがエコシステム「デジタルブリッジ」だ。Apple社、Amazon.com社、Google社は独自のエコシステムを築いているが、すべて配信が入り口になっている。BDから入れるエコシステムという点で、「デジタルブリッジ」には強みがあるとする。

 「絶対にコピーしてはいけないBD」から「どんどんコピーしてほしいBD」に180度、変わるのだ。コピーは1回限り。もちろん、それが不正に使われないような著作権保護は整えるというのが前提だ。