デモシステム。左側の装置から非接触通信を経由し、テレビに向けた回線がつながっている。
デモシステム。左側の装置から非接触通信を経由し、テレビに向けた回線がつながっている。
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説明パネル
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製造したサンプル・チップ
製造したサンプル・チップ
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 オランダNXP Semiconductors社は「2014 International CES」(米国ラスベガス、2014年1月7日~10日)の同社ブースにおいて、NFCのアンテナを使って最大20.34Mビット/秒で通信可能なシステムを披露している。

 NFCは13.56MHzの周波数を使い、信号の振幅の増減によってデータの0、1を示すASK(amplitude shift keying)を利用することで、最大424kビット/秒で通信できる。今回のシステムでは周波数を13.56MHzとしたまま、変調方式を16値PSK(phase shift keying)にし、シンボルレートを6.8Mシンボル/sに高速化したことで達成した。16値PSKでは1シンボルで4ビット伝送できるので、これにシンボルレートをかけると27.2Mビット/秒となるが、「符号化などのオーバヘッドを差し引くと20.34Mビット/秒になる」(NXP社の説明員)という。

 試作チップを使ったデモ・システムではHD品質の動画を送り再生する様子を見せていた。時々、ブロックノイズが画面に現れるものの、確かにHDの動画が送信できていた。

 NXP社の説明員によると、このシステムのために開発したチップは従来のNFCとの下位互換性を維持しており、対応しないチップや機器に対しては普通のNFCリーダー/ライターとして働く。この高速のNFC仕様についてはNFCの規格を定めているISO/IEC 14443の修正版として盛り込むことになっているという。今後、NFCの業界団体であるNFC Forumなどが相互接続試験などを開始すれば、高速のNFCがスマートフォンなどの標準仕様になる可能性がある。

 今回のシステムに準じた商用チップの出荷開始は2016年の終わり頃になる見込みという。