同じ展示会で、同じ日にライバルメーカー同士の記者発表会で同じゲストが登場する――。米国時間の1月7日に開幕する「2014 International CES」で、あまり経験のない状況が見られた。開幕前日の6日に開かれた家電メーカー各社の記者発表会。朝一番に開催された韓国LG Electronics社の発表会と、別の会場で夕方に開かれたソニーの発表会に同じ人物がゲストスピーカーとして登壇した。

Netflix社 CEOのReed Hastings氏。ソニーの記者発表会で。
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 その人物は、Reed Hastings氏。インターネットを用いたVOD(ビデオ・オンデマンド)サービス大手である米Netflix社の共同創業者でCEOだ。ゲストスピーカーとして話したテーマは、LG社とソニーのいずれも同じだった。4K×2K(3840×2160)画素の映像を配信するサービスを、Netflix社がテレビ向けに始めるという話題である。

 4K映像は「UHD(ultra high definition)」と呼ばれ、この映像の表示に対応した4Kテレビは今回のCESの目玉の一つ。ただ、現状ではテレビの解像度は4Kであるものの、表示する4K映像のサービスはないに等しかった。

 2013年からテレビメーカー各社は4Kテレビの販売を本格化しているが、価格が高いことに加え、表示する4Kコンテンツがないことから売れ行きが好調だとは言いにくい。実際、CESを主催する米家電協会(CEA)によれば、米国における同年の4Kテレビの販売台数は5万7000台にとどまっている。

 この状況に光が差し始めた。Hastings氏がテレビ向けの4Kコンテンツの配信を2014年上半期に始めることを明らかにしたからだ。LG社の発表会では、第一弾として4Kで撮影し、編集したテレビドラマ「House of Cards」を配信すると発表した。

 Netflix社は4K映像の配信サービスで、2013年に規格が固まった次世代の動画圧縮技術の国際標準「H.265/HEVC」を採用する。HEVCは現在、ビデオカメラなどで主流になっている動画圧縮技術「H.264/MPEG-4 AVC」の次を担う技術だ。H.264の2倍の圧縮率を実現できる。同社は、HEVCを用いて映像を圧縮し、15Mビット/秒の符号化速度で配信する。Hastings氏によれば、家庭内ネットワークの無線LAN環境でも4K映像を送信できるという。