米国最大の民生機器関連の展示会「2014 International CES」が、2014年1月7日(米国時間)に同国ラスベガスで開幕する。展示会の開催に先立つ5~6日にはパナソニックやシャープ、ソニー、韓国LG Electronics社、同Samsung Electronics社などの家電大手による発表会や、報道関係者向けの事前イベントが相次ぐ。展示会の会期は10日まで。

2014 International CESが開催されるラスベガスは快晴
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 米CEA(米家電協会)とドイツの調査会社GfK社の共同調査によれば、2013年のデジタル家電関連(Tech Markets)の世界販売額は前年比3%増の1兆680億米ドルになったもようだ。スマートフォン(スマホ)やタブレット端末の市場拡大が牽引し、過去最高を記録した。

 ただし、2014年はデジタル家電の世界販売額が前年比1%減の1兆550億ドルにとどまる見通しだ。スマートフォンやタブレット端末の販売台数は順調に伸びるものの、単価下落が加速する。GfK社によれば、2010年に444米ドルだったスマートフォンの販売単価は2013年に345米ドルになり、2014年には297米ドルと300米ドルを切る見通しだ。

 市場の牽引役だった携帯端末の価格競争が激化する中、今回のCESでは「ポスト・スマホ」の提案が大きな焦点になりそうだ。その候補として期待を集める分野は、通信ハブとしてスマートフォンを活用するウエアラブル機器や、移動通信網やスマートフォンとの連携を模索する自動車メーカー大手による新しいコンセプトである。

自動車分野が大きな注目テーマに

 今回のCESでは、トヨタ自動車やドイツAudi社が前回のCESで披露して関心を集めた自動運転車を実現する要素技術を筆頭に、車載機器や駆動系を中心に進行するクルマの電動化など自動車分野がこれまで以上にクローズアップされるとの見方が強い。

 展示会開幕前日の6日夜には、Audi社 会長のRupert Stadler氏が基調講演の舞台に立つ。自動運転車の構想に加え、世界初披露の新型車や車載情報システムに関する発表を予定しているようだ。自動運転は多くのカメラやセンサを用いて周囲の状況を把握し、自動で走行する技術。早ければ2016年には高速道路など限られた環境で実用化が始まるとみられている。

 日本メーカーでは、マツダが初めて展示ブースを構える。同社は、車載情報システム「Mazda Connect」向けのアプリケーション・ソフトウエア(アプリ)の開発基盤を発表する予定である。移動通信網を用いて自動車向けに情報提供する、いわゆる「コネクテッド・カー」を実現する技術は参加者の関心を呼ぶことになりそうだである。

 米General Motors(GM)社は5日に開催した発表会で「LTE」を標準搭載した試作車を披露。車載情報システム向けのアプリ開発基盤の提供を明らかにした。このほか、Ford社やDelphi社なども車載情報システムの関連技術を発表する可能性がある。CESの直前には、パナソニックが自動車メーカーと共同でスマートフォンと自動車の連携技術の開発を始めるとの報道もあるなど、家電メーカーからの提案も登場しそうだ。

 Ford社は、太陽光パネルを屋根に搭載したコンセプトカー「C-MAX Solar Energi Concept」を展示する予定だ。同社のプラグイン・ハイブリッド車「C-MAX Energi」をベースに開発した試作車である。トヨタ自動車は、燃料電池車「FCV CONCEPT」を出展するほか、「Going Places with Electric Vehicles」と題する記者説明会を6日に開催する。