台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)は300mmウエハー・サイズの薄型ガラス・インターポーザについて「International Electron Devices Meeting(IEDM)2013」(2013年12月9~11日、米国ワシントンD.C.)で発表した(講演番号13.4)。タイトルは「300mm Size Ultra-thin Glass Interposer Technology and High-Q Embedded Helical Inductor (EHI) for Mobile Application」。
微細化が困難になっている現在、Siインターポーザ上に複数のチップを集積する2.5次元(2.5D)IC技術の重要性が高まっている。しかし、Siインターポーザは高価なため、現状では適用範囲がハイエンドのFPGAなどに限られているほか、Siは高周波領域における損失が大きいという課題もある。これに対し、ガラスは大型基板の量産インフラが整っており、低コスト化しやすい。さらに高周波領域での特性に優れるという特徴がある。今回TSMCが発表したガラス・インターポーザは60GHz帯のWiFiシステムなどへの応用を想定している。
これまでに報告されたガラス・インターポーザは主に150mmサイズが多く、厚さも175~250μmと厚かった。またガラス・インターポーザを貫通する電極(TGV)の直径は30~35μmの水準だった。今回は300mmのガラス・ウエハーを用いたほか、ガラスの厚さが50μmと薄いのが特徴である。TGVの直径も25μmと小さい。ガラス・ウエハーをSiキャリアに貼り付けてガラスの厚さを50μmに薄化し、スルーホールを形成後、CuめっきとCMPによってTGVを形成した。
今回のガラス・インターポーザを用いて2次元のスパイラル・インダクタを形成したところ、Q値は1G~5GHzの周波数領域で20以上と高かった。なお、Siインターポーザ上に形成したスパイラル・インダクタはQ値が18以下だった。Q値の最大値に関してもSiインターポーザでは25以下だったのに対し、ガラス・インターポーザでは30以上となった。なお、2次元のスパイラル・インダクタは、ガラス・インターポーザ表面の2層配線を用いて形成している。