溶融なしでの抵抗変化を確認
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超格子膜を高品質化
超格子膜を高品質化
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合金を排除
合金を排除
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1億回の書き換えを実証
1億回の書き換えを実証
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低電力・高速動作が可能
低電力・高速動作が可能
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 超低電圧デバイス技術研究組合(LEAP)と筑波大学は、新しい膜構造と動作原理を採り入れた相変化メモリ技術を共同開発した(講演番号30.5)。従来の相変化メモリに比べて書き込み時間と書き込み電力をいずれも1/10以下に低減できる上に、書き換え可能回数を1億(108)回以上に高められるという。「“データ爆発”によりデータセンター向けSSDに新しいメモリ技術が求められる、2018~2020年の実用化を目指す」(LEAP 相変化デバイスグループの高浦則克氏)。

 開発グループは2013年6月の「2013 Symposium on VLSI Technology」において、従来はGeSbTeで構成していた相変化膜を、GeTe/Sb2Te3をユニットとする超格子膜に変えた相変化メモリ技術を発表済み(関連記事)。従来の相変化メモリではGeSbTe膜が熱で溶融して膜の抵抗値が変化するが、LEAPらの開発した構造では電子の注入が引き起こすGeイオンの移動によって抵抗値が変化する。この結果、現行のSSDに使われるNANDフラッシュ・メモリや従来提案されてきた相変化メモリに比べて、高速・低電力でデータの書き換えが可能になるという。

 2013 Symposium on VLSI Technologyでは、相変化メモリの書き換え電圧を従来比1/2の0.4Vに下げられるとの結果を報告した。今回はGeTe/Sb2Te3超格子膜の成膜条件を見直して膜品質を高め、書き換え可能回数や書き換え電流などのメモリ特性を大幅に改善した。