講演の様子
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 半導体ファウンドリー大手、米GLOBALFOUNDRIES社Vice PresidentのSubramani Kengeri氏(Office of the CTO, Advanced Technology Architecture)は「SEMICON Japan 2013」(2013年12月4~6日、幕張メッセ)会期初日の基調講演に登壇した。同氏は目下、モバイル機器向けのSoC分野が半導体産業において最も脚光を浴びる“オリンピック競技場”だとしつつ、アナログICやMEMSなど、その他の領域の高い市場成長性にも目を向けるべきだと説いた。

 Kengeri氏によれば、アナログIC/MEMS分野は、半導体デバイス市場の平均を上回る市場成長を遂げつつある。背景にはユビキタス・ネットワークの普及やIoT(internet of things)の台頭があるという。例えば、パワー・マネージメントICの市場成長率は市場平均の2倍、無線(コネクティビティ)向けアナログICでは同3倍だといい、MEMS市場にも今後は市場平均の3倍の成長率が見込めるとした。

 半導体業界では一般に、最先端のプロセス技術に注目が集まりがちだ。だが、アナログICやMEMSではモバイルSoCに比べて数世代後れた技術が最先端として通用する。Kengeri氏は、パワー・マネージメントICでは130nm世代、パワー・アンプでは180nm世代といったプロセス技術にも依然として競争力があると話す。このように「最先端の微細化技術を追わない半導体の重要性が、ここにきて非常に高まってきている」(Kengeri氏)。

 同氏はアナログICやMEMSの製造モデルにかかわる問題点として、デジタルCMOSのようなファブレスとファウンドリーの水平分業モデルが確立していないことを指摘した。結果として、アナログICやMEMSの事業を手掛けるIDM(垂直統合型半導体メーカー)が、顧客や製品仕様に合わせた独自のプロセス技術や設計技術、パッケージ技術を適用している場合が大半という状況にある。こうした形態は「(生産規模やコスト面で)スケーラビリティに乏しく、サステナブルではない」(同氏)とする。そこで、アナログICやMEMSにおいてもスケール・メリットを享受できるファウンドリーが生産を請け負うモデルを、業界全体で確立していく必要があると同氏は主張した。