最近、新規に開発された組み込み機器は、しばしばARMコア内蔵のプロセサICまたはSoCを搭載している。これらのICの心臓部は、徐々にシングル・コア構成からマルチコア構成へと移行してきており、既存のシングル・コア向けのコードをマルチプロセッシング対応に書き換えるケースも増えている。こうした状況下で、開発現場の継続的な課題となっている「開発期間の短縮」と「設計品質の向上」を実現するため、組み込みソフトウエアの開発工程や開発手法の見直しが行われている。
「Embedded Technology(ET)2013」と「EDSFair 2013」(いずれも2013年11月20日~22日にパシフィコ横浜で開催)は共同企画セッションとして、組み込みソフトウエアの開発手法やマルチコア化への対応について議論するパネル討論会を行った。タイトルは「第一線のエンジニアに聞く、組み込み機器の開発事例と『成功の法則』」である。
議論に参加したパネラは以下の5名。(1)木村 貞弘氏(リコー 総合経営企画室 新規事業開発センター T-PT リーダー)と(2)山下 浩一郎氏(富士通研究所 ユビキタスプラットフォーム研究所 主管研究員)は、機器メーカーの開発エンジニアの立場で議論に参加した(図1)。(3)内海 弦氏(アーム 代表取締役社長)はプロセサ・コアを、(4)上倉 洋明氏(イーソル 執行役員 エンベデッドプロダクツ事業部長)は組み込みOSを、(5)中野 淳二氏(日本シノプシス システムレベルソリューションズ FAEマネージャー)は開発ツールを供給する立場で参加した(図2)。
ET/EDSFair事務局の発表によると、本討論会の聴講者数は156名。冒頭で司会者が聴講者に質問したところ、約7割が組み込みソフトウエアや組み込みシステムの開発者、約3割がICやボードの開発者だった。