FPD International 2013における、エイソンテクノロジーの展示ブース。有機EL照明パネルが壁面などに貼られている。
FPD International 2013における、エイソンテクノロジーの展示ブース。有機EL照明パネルが壁面などに貼られている。
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パネルの拡大写真
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演色性の高さを示した例(長州産業のブース)
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多段に多層化できるエイソン型の特徴などを示すパネル
多段に多層化できるエイソン型の特徴などを示すパネル
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 エイソンテクノロジーは、発光層を5段積層して作製した照明用の有機ELパネルを「FPD International 2013」(2013年10月23~25日、パシフィコ横浜)に出展した。同社が、展示会に有機ELパネルを出展するのは初めてとなる。


 エイソンテクロノジーは、有機EL照明パネルの発光層を積層する技術「MPE(multi-photon emission)」を発展させた「エイソン型」の技術を用いた有機EL照明パネルを開発している。一般に、有機EL照明では、発光層を多段に積層するほど、少ない電流で高い輝度、そして高演色性を実現しやすくなり、それが長寿命化にもつながる。一方で、一般には光の干渉による消光なども大きくなるため、従来のMPEでは2~3層が限界だった。これに対し、エイソン型では10段以上も積層できることが特徴であるとする。

 今回出展したのは、発光層を5段積層したパネル。発光効率は15lm/Wと低いが、4000K弱の色温度で、5000cd/m2以上の高輝度を実現した。5000cd/m2以上という輝度は、発光効率が高い他社のパネルに比べても高い。


 また、多層化に加えて光の拡散反射層を工夫することで、見る角度によって発光色が変わる有機EL照明パネルの課題も解決したとする。

 詳細は明らかにしていないが、製造プロセス面でもいくつかの工夫をしており、材料の利用効率や製造歩留まりが高いのが特徴だ。「他社の有機EL照明パネルは当初の歩留まりが20%しかなかったが、エイソンのパネルは最初から100%と高い」(エイソンテクノロジーのパネルの製造装置を開発したある製造装置メーカー)。

 一方で、発光効率が低いのは「今回は全て蛍光発光材料を用いた」(同社 代表取締役社長の中川幸和氏)ため。同社は、この有機EL照明パネルを、滋賀県にあるルネサス エレクトロニクスの工場の一部を利用して2014年2月から月産100枚の規模で製造する計画。しかもこの際には、発光効率が高いリン光発光材料を用いるという。「生産能力としては月産で2000枚を製造できる。さらに、2016年には第5世代(G5)の製造装置を用いて20cm角のパネルを月産10万枚弱の規模で製造する計画」(中川氏)という。