ブースのプレゼンテーション Tech-On!が撮影。スクリーンはNSMのスライド。
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SeeQVaultのメリットの例 NSMのデータ。
SeeQVaultのメリットの例 NSMのデータ。
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WG-C20のデモストレーション・コーナー 左奥の外付けHDDのような形状をしているのが「nasne」。その手前がSeeQVault規格に準拠したmicroSDHCメモリカード。右にあるスマートフォンのような形状をしているのがWG-C20(グレー、紫、白の3色)。Tech-On!が撮影。
WG-C20のデモストレーション・コーナー 左奥の外付けHDDのような形状をしているのが「nasne」。その手前がSeeQVault規格に準拠したmicroSDHCメモリカード。右にあるスマートフォンのような形状をしているのがWG-C20(グレー、紫、白の3色)。Tech-On!が撮影。
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HDコンテンツ再生の流れ ソニーのデータ。
HDコンテンツ再生の流れ ソニーのデータ。
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 パナソニックと韓国Samsung Electronics社、ソニー、東芝が開発した新しいコンテンツ保護技術「SeeQVault」。その4社で結成したSeeQVaultのライセンシングを行うNSM(Next Generation Secure Memory) Initiative LLCは、幕張メッセで開催中の「CEAEC JAPAN 2013」にブースを構えた(ブース番号5F67)。同規格のメリットなどをプレゼンしたり、準拠した新製品を紹介したりしている(ニュース・リリース1)。

 SeeQVaultは、メモリカードやHDDなどの記憶メディア間でコンテンツを移動する際に、コンテンツの保護を目的に開発された。これで、HDコンテンツの可搬性を上げることを狙う。例えば、現在、スマートフォンやタブレットの一般的なメモリカードに移動・保存する際にはSD画質になっているHDコンテンツは、HD画質のままSeeQVault準拠のメモリ・カードに移動・保存できる。

 また、テレビとUSB接続したHDDに保存されたHD番組は、そのテレビでないと再生できないのが一般的である。例えば、テレビを買い替えた際にそのHDDを新しいテレビにつなぎ替えても再生できない。一方、SeeQVault準拠のHDDとテレビの組み合わせならば、テレビを買い替えてもHDDを差し替えるだけで、新しいテレビでHD番組を見ることができる。

 NSMはSeeQVaultのラインセンシングを2013年2月に始めた。同月には、SeeQVault規格に準拠した初めての製品としてmicroSDHCメモリカードを東芝が発表し、サンプル出荷を開始した(Tech-On!関連記事1)。同年9月下旬に東芝はこのメモリカードを10月下旬から発売すると発表している(同2)。9月末には、ソニーもSeeQVault規格に準拠したmicroSDHCメモリカードを発表した(ニュース・リリース2)。さらに、ソニーは、SeeQVault規格に準拠した機器としてスマートフォン大の「ポータブルワイヤレスサーバー」(製品番号:WG-C20)も発表した(ニュース・リリース3)。WG-C20の大きさは約71mm×144mm×9mmで、質量は 約135g(本体のみ)である。

 今回のNSMのブースでは、WG-C20のデモンストレーションを行っている。WG-C20にSeeQVault規格に準拠したmicroSDHCメモリカードを挿して、同メモリカードにHDコンテンツを保存する。保存されたコンテンツは、専用のAndroidアプリケーションを載せたスマートフォンやタブレットで見ることができる(いわゆるワイヤレス再生)。スマートフォンやタブレットにHDMI端子があれば、HDMIケーブルで接続した大型テレビやディスプレイで、HDコンテンツを見られる。「自宅で録画したHD番組を、出張先のホテルのテレビでHD品質で楽しめる」(ブースの説明員)。

 ただし、今のところ、WG-C20にHDコンテンツを保存する手段は限られる。ソニーのネットワークレコーダー&メディアストレージ「nasne」で録画して、WG-C20にワイヤレス転送する必要がある。

 なお、WG-C20はSeeQVault規格対応以外の機能も複数備えている(むしろ、現在のユーザーにとってはこちらの機能の方が利用機会が多いだろう)。1つは、スマートフォンやタブレットの予備電池(電源)。3000mAhのLiイオン・ポリマー電池を内蔵する。スマートフォンやタブレットの外部記憶装置という機能もある。一般的なmicroSDHCメモリカードを挿せば、データや写真、SD画質の動画などの保存に使える。

 HD番組はデータ容量が大きく、nasneからWG-C20へのワイヤレス転送は時間がかかる。ブースの説明員によれば、60分間の番組の転送には、20~30分間かかる。Liイオン・ポリマー電池への充電とワイヤレス転送は同時に行えるため、「ユーザーが寝ている間に双方を行ってもらうユース・ケースを想定している」(ブースの説明員)という。

 WG-C20、2社のSeeQVault規格に準拠したmicroSDHCメモリカード、いずれもオープン価格だが、WG-C20の市場推定価格は1万円前後。SeeQVault規格に準拠したmicroSDHCメモリカードは東芝、ソニーとも、16Gバイト品が4500円前後、32Gバイト品は8000円前後としている。