「ITC(International Test Conference) 2013」のセッション12「Novel Techniques for ADC and RF」では、A-D変換器やRF回路の性能テスト・診断の新手法について3件の論文発表があった。通信用半導体デバイスの性能テストや不良診断は、一般に高額な専用装置を必要とする。3件の論文で提案された技術は、このような装置をの利用を減らすことにつながり、テスト・コスト削減に直接貢献すると期待される。

 ITCの本会議最終日の早朝からのセッションにもかかわらず、50名近くの聴衆が集まり、米国の通信系大手半導体メーカーの技術者などが熱心に質問していた。3件の論文のいずれも、アナログ・RF回路のフロントエンド部分を実デバイスとし、その性能やノイズ応答などの特性を、バックエンドのデジタル処理(数値演算プログラムあるいは離散時間シミュレータ)によりリアルタイムに抽出する手法を提案している。

 この手法によって、テスト・コストの低減や、インフィールド・テスト、システム・レベルのノイズ応答の予測、などを実現した。いわゆるHILS(hardware in the loop simulation)手法の実課題への応用と言える。その中でも、3番目の神戸大学の手法(講演番号12.3)には、後述するように、ノイズ干渉の問題に市販の通信シミュレータを利用しているという特徴がある(当該部分へのリンク)。以下に各発表のポイントを紹介する。