パナソニック テレビ事業部長の楠見雄規氏(左)、筆者、パナソニック テレビ商品企画グループマネージャーの岩城裕之氏(右)
パナソニック テレビ事業部長の楠見雄規氏(左)、筆者、パナソニック テレビ商品企画グループマネージャーの岩城裕之氏(右)
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4K×2Kテレビの新しい活用の一例。ドライビング・ゲームのディスプレイに。
4K×2Kテレビの新しい活用の一例。ドライビング・ゲームのディスプレイに。
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 「4Kの可能性をテレビだけで終わらせるな」――。相当、挑発的な文句だ。パナソニックが65型4K×2Kテレビ「L65WT600」から使い始めるカタログの宣伝コピーだ。パナソニックは、4K×2Kでは後発である。しかし、4:4:4伝送が可能なHDMI2.0搭載、THX・4K認証、DisplayPort1.2a搭載など、先発メーカーにもない機能を入れ、気を吐く。同社テレビ事業部長の楠見雄規氏に、パナソニックのテレビ事業の今後を聞いた。楠見氏とは、Blu-ray DiscとHD-DVDの規格争いの時にお会いして以来である。

――「4Kの可能性をテレビだけで終わらせるな」とは、かなり挑発的な言い方ですね。

 津賀社長は“脱テレビ”だと仰ったんですね。マスコミ的には、テレビ事業からの撤退と捉えられましたが、私はそれは「いわゆるテレビからの脱出」と捉えました。テレビというよりディスプレイとして考えるなら、その役割は大きく変わってきます。放送だけを見るテレビではなく、さまざまなメディアを等しく楽しむディスプレイになっていきます。だからメッセージとして「4Kの可能性をテレビだけで終わらせるな」を考えたのです。コピーを作ったのは営業のコミュニケーション担当ですが、彼らには「テレビじゃないものを訴求する手を考えてくれ」と言いました。黙っていると、「HDMI2.0、4:4:4初搭載!」という感じで来ますからね。

――確かに2K×1Kテレビでは、マルチメディア・ディスプレイとしては限界があります。しかし、4K×2Kなら、その可能性はまさに放送を見るテレビの世界を超えています。

 だから、商品化を早めたのです。うちは、4K×2Kに関しては慎重でした。「放送環境がどうなるかを見極めてから、出すべきだ」という意見が多かったのです。しかし、私は、4K×2Kは放送だけを楽しむものではないと思いましたので、優先順位をかなり格上げしました。「4Kの可能性をテレビだけで終わらせない」のだから、なるべく早く出した方が良いと判断しました。画面サイズは65型ですが、「最初はあまりがちゃがちゃと出すな、4K×2Kとしてのコンセプトが明確になるサイズで出せ」と、明言しました。「4Kで○○○○をする」という言い方もしています。