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【麻倉怜士IFA報告】テクニクス直系、高音質ミニコンがパナソニックのブースで評判

2013/09/16 10:50
麻倉 怜士=評論家、日本画質学会副会長
パナソニック・ブースのSC-PMX9の試聴室(1)
パナソニック・ブースのSC-PMX9の試聴室(1)
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パナソニック・ブースのSC-PMX9の試聴室(2)
パナソニック・ブースのSC-PMX9の試聴室(2)
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 パナソニックが「IFA2013」(ドイツ・ベルリン、2013年9月6~11日)で、珍しくオーディオだけの試聴ブースを設けていた。そこで鳴っていたのはミニコンポ「SC-PMX9」だ。「このミニコンは音で勝負です。ミニコンなのですが、かつてのテクニクスの技術者が、縦横に腕を振るいました」と担当者は言った。

 確かにSC-PMX9の音は、条件を整えると素晴らしくなる。付属の電源コードやスピーカー・ケーブルで聴くと、芯がやや薄い、表面がきれいなだけのミニコン的なサウンドなのだが、それを高性能なケーブルに替えると、あら、びっくり。本格的な腰の座った堂々たる、解像度も高いハイレゾ音が聴けるのである。相当に力を入れて開発したミニコンだから、その潜在力が発揮されたということだろう。

 SC-PMX9には「LincsD-Amp」というデジタル・アンプ・ユニットが採用されている。デジタル・アンプは、デジタル音源をA/D変換やD/A変換をせずに増幅するため、音質面で有利だ。課題はジッタ(時間軸揺らぎ)。入力信号のクロックをパルス幅変調(PWM)のクロック(384kHz)に変換する際、ジッタが生じる可能性が高い。そこでSC-PMX9では、独自のノイズ・シェーピング技術を応用した「クロック再生成技術」によってジッタを抑えた。

 この技術の出所が面白い。1980年代後半から1990年代にかけて「Technics(テクニクス)」ブランドのCDプレーヤーに採用されていた「MASH(Multi-stAge Noise SHaping)」で培ったアイテムなのだ。つまりあの名門テクニクスの技術がいまだ生きているのである。

 スピーカーは「2Way+スーパーツィーター」(1.2センチピエゾ型)という構成。スーパーツィーターが20kHz以上をカバーし、ハイレゾ音源に対応している。お得意の竹炭を配合したPP(ポリプロピレン)コーン・ウーファーには、部分的に厚みを変えたリブ構造を持たせて分割振動を抑えている。

 SC-PMX9は欧州で権威のある「EISA Awards 2013-2014」(専門誌の編集者が投票)を受賞している。今後、欧州市場に力のこもったオーディオで挑戦する気概という。