2013年6月に開催のセンサ/アクチュエータに関する国際学会「TRANSDUCERS(The 17th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems)2013」の発表から、将来の産業界に影響を与えそうな論文を選んで解説する「『TRANSDUCERS 2013』学会報告」が、7月12日に開催された(関連情報)。東北大学大学院工学研究科バイオロボティクス専攻バイオデバイス工学講座教授(講演時は東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻准教授)の田中秀治氏が講師を務めた。

 報告会では、今後、センサが毎年1兆個といった規模で大量に使われる可能性を踏まえて低コスト化技術がますます重要になること、接合やTSV(Si貫通電極)による最新の実装技術、ここへ来て民生用途から構造物のモニタリングなどへも応用範囲を広げている加速度/角速度/温度センサ技術、水晶発振器を代替し得るSi発振器/振動子技術などについて、田中氏が紹介した。

 このうち温度センサについては、材料として一般的なSi(シリコン、珪素)の代わりにSiC(シリコン・カーバイト、炭化珪素)を使うことで、動作温度範囲を600℃にまで高められる素子について紹介した。米University of California、Berkeleyの温度センサ(論文番号:T3P.025)について解説するとともに、同大学が今回の学会前に論文誌で発表していた応力センサにも触れた。高温環境で使えるセンサは、資源探査や地盤調査などのために地中深く、より低燃費のエンジンを実現するために燃焼室内などに、置く。