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 アルプス電気は、電池や外部供給電源がなくてもオン/オフ情報を伝えられるスイッチを「テクノフロンティア2013」(2013年7月17~19日、東京ビックサイト)に展示した。電波の到達距離を長くできる、あるいは無線回路の消費電力を抑えやすい920MHz帯を採用している。

 展示したスイッチは、丸型の押しボタンの形状で、押す動作によって電磁誘導発電する。電池を内蔵せず、また外部からの電源供給が不要なので、電池交換の手間がかからず電源用配線を敷設しなくて済む。防水、防塵、無接点としているため、長寿命とする。また、競合品と比べて操作感に優れるという。

 1回の押す動作によって発生するエネルギーは約140μJ。計算上は2Vで70mAの電流を1ms供給できる。ただし、発電の開始時と終了時の発生電圧が低いため、電源ICなどが利用できない期間が発生する。仮に発電した電圧が1.5V以上の期間のみを利用する場合のエネルギーは70μJとなるという。低い電圧で動作するICを使えれば、それだけ利用できる発電エネルギーは増えることになる。電磁誘導による発電機構を実現する構造は独自のもので、独EnOcean社など既存品の特許に抵触しないように設計している。

 すでに実用レベルにあり、2014年4月に量産出荷する予定である。顧客や用途について同社は明らかにしていない。