インタビューに答えるChris Kelly氏
インタビューに答えるChris Kelly氏
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 米Intel社は2013年7月5日にマレーシア・ペナンの製造拠点で「Designed in Asia 2013」を開催し、アジア地域で半導体の設計開発を強化する方針を示した。アジアでの設計を重視する理由は何か。ペナンの設計開発センター(Intel Malaysia Design Center)の責任者を務めるChris Kelly氏(General Manager, Intel Malaysia Design Center)に聞いた。

――そもそも、Intel社がペナンに拠点を置くことになった経緯から聞きたい。

Kelly氏 我々がペナンに拠点を置くことを決めたのは40年以上前だ。当時、マレーシア政府は電子産業の誘致に力を入れており、Intel社としてもアジア市場に興味を持ち始めた時期だった。双方の思惑が合致したといえる。

 20年ほど前に、ペナン拠点の製造ラインの一部を閉じるという話が浮上した。この際、一部の従業員が(当時、Intel社の社長だった)Andy Groveのもとを訪れ、新しい事業を立ち上げるチャンスを与えて欲しいと直訴した。これを受けて開設されたのがIntel Malaysia Design Centerである。当初、在籍技術者は30人ほどに過ぎなかったが、今では2000人規模にまで増員した。

――ペナンは、Intel社にとって最大規模の後工程拠点。ここで半導体設計を行うことにはどのようなメリットがあるのか。

Kelly氏 大きく二つのメリットがある。第1に、製造部門と密に連携しながら設計開発を進められる。両者の連携を通じて設計上の課題をいち早く見つけ、製品の完成度を高めることができるわけだ。この取り組みにおいて特に重要なのは、開発したチップの検証(Validation)である。このプロセスでチップの機能を念入りに検証し、問題があれば設計側にフィードバックして解決を図る。検証作業は、我々の拠点が担っている極めて重要な仕事といえる。

 第2のメリットは、エキサイティングな市場であるアジアとの地理的な近さ。スマートフォンやタブレット端末の市場で今何が起きているかは、アジアに目を向けることでよく理解できる。市場を理解した上で、そのニーズを製品設計に反映することが重要であり、ペナンはその取り組みにふさわしい拠点だ。

――ペナンでは、チップ設計の他にどのような階層の設計を手掛けているのか。

Kelly氏 我々のサイトでは、三つのレベルで設計を行っている。IPブロックの設計、チップ設計、プラットフォーム設計、そしてこれに検証とテストが加わる。「Bay Trail」(コード名)といった、Intel社が全世界に向けて出荷している製品の設計や検証をここで手掛けていることを、誇らしく思う。

 最近では、参照設計(レファレンス・デザイン)の提案など、システム・レベルの設計にも注力している。我々が開発したチップが機器のレベルではどのような効用をもたらすかを、自ら実証することにつながるからだ。