「TRANSDUCER 2013」では“Packaging & Technology”セッションがありました。前回の報告(関連記事)のように、単なるウエハー・レベル・パッケージングではなく、ウエハー・レベル集積化と同時に行うパッケージングは、これからのMEMSのトレンドです。ここでは、金属-金属接合、TSV(through silicon via)、気密封止などがキー・ポイントとなりますが、見渡してみると、関連する技術の発表は結構あります。

 このセッションの最後の発表は、米California Institute of TechnologyのWu先生の研究室からで、TSVの金属埋め込みに、Auナノ粒子のインクジェットを使うものでした(論文番号T2A.007)。DRIE(deep reactive ion etching)で形成した穴に、140℃に加熱しながらAuナノ粒子を入れ、最後に250℃でシンタリングすることで、典型的には直径40μm、深さ100μmのTSVがボイドなく形成されています。ただし、Auナノ粒子の収縮によって穴の側面と金属との間には隙間が空きやすそうなので、気密封止用途にはさらなる工夫が必要だと思います。

 TSVの絶縁・拡散防止層には、ALD(atomic layer deposition)によるアルミナを用いています。私の研究室でも同様の手法を試みていますが、信頼性などはこれから調べていかねばなりません。蛇足かもしれませんが、最近、ALDはMEMS分野でもよく使われるテクニックになってきており、これを使った研究例もかなり見かけます。TRANSDUCERS 2013のPlenaryセッションでは、米Colorado UniversityのGeorge先生による有機-無機ハイブリッドALDに関するとても魅力的な講演がありました。