五つの構造を検証
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horizontal sigma型は強いひずみを加えられる
horizontal sigma型は強いひずみを加えられる
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7nm世代までの技術シナリオ
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 韓国Samsung Electronics社は、FinFET(立体トランジスタ)を用いる14nm世代以降の論理LSI向けプロセス技術について、「2013 Symposium on VLSI Technology」(2013年6月11~13日、京都市)で講演した(講演番号:T7-2)。チャネルのキャリア移動度を高めるために使うひずみ技術を、FinFETに対してどのように適用すれば電流駆動力やプロセス均一性、デバイス信頼性が高まるかを検証した。

 28/20nm世代までの平面(プレーナ)構造のトランジスタでは、SiGeソース・ドレインを用いたひずみ技術がpMOSに対して使われている。ところが、この技術をSi基板の面方位やSiGeソース・ドレインの形状を変えずにそのままFinFETに適用しようとするといくつかの問題が生じるという。例えば、SiGeソース・ドレインの側壁が界面準位の多い(110)面になるため、NBTI(negative bias temperature instability)特性が悪化してしまう。

 こうした問題を克服するために今回、Si基板やチャネルの面方位を変えた5種類のSiGeソース・ドレインについて、FinFETの電流駆動力やプロセス均一性、デバイス信頼性の優劣を比較した。その結果、プレーナ・トランジスタで標準的に使われているconventional sigma(cΣ)型のSiGeソース・ドレインの面方位を90度回転させたhorizontal sigma(hΣ)型が最も好ましいことが分かった。

 hΣ型では、チャネルに強いひずみが加わるため、conventional U Shape(U型)と呼ばれる従来構造に比べて垂直方向のひずみを25%、水平方向のひずみを40%高められるという。加えて、SiGeソース・ドレインの側壁が(100)面となるためNBTI特性が改善する。SiGeソース・ドレインの先端部(tip)は(111)面で囲まれるため、ウェット・エッチングがこの面で自然に止まり、プロセス均一性も高めやすい。