Samsung社によるポスター発表の様子
Samsung社によるポスター発表の様子
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SK Hynix社によるポスター発表の様子
SK Hynix社によるポスター発表の様子
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 「ISPSD 2013(2013年5月26~30日に石川県金沢市で開催、主催:電気学会)」の会期3日目に開催されたポスター・セッションでは、韓国Samsung Electronics社と韓国SK Hynix社が、電力制御IC技術の開発成果をそれぞれ披露した。Samsung社の技術は自社のモバイル機器などに向けるもの、SK Hynix社の技術は電力制御ICの受託生産(ファウンドリー)事業に向けるものである。

 Samsung社は2件を発表した。1件目は、モバイル機器向けのパワーMOSFETに関するもので、論文タイトルは「Mobility Enhanced Power CMOS」(論文番号:IP-P11)。0.13μm世代のCMOSプロセスで製造する耐圧5VのパワーMOSFETにおいて、(100)面基板上の<100>チャネルを利用したり、ソース電極とドレイン電極を格子状に配置したりする工夫により、nMOSとpMOSの両方のキャリア移動度を高めた。飽和ドレイン電流はnMOSで27%、pMOSで37%向上したとする。

 2件目は、耐圧40~50VのLD(lateral diffused) MOSFET技術に関するもので、論文タイトルは「Interdigitated LDMOS」(論文番号:LV-P8)。この発表では、LD MOSFETのドリフト層のSTI(素子間分離)領域を部分的に除去し、電流が流れるパスを増やすことによってオン抵抗を下げた。0.13μm世代のBCDプロセスで試作した耐圧40VのLD MOSFETでは、オン抵抗を従来比25%低減できた。今回のデバイス構造は、ゲート電極とSi表面がオーバーラップする面積が通常よりも小さくなるため、ゲート容量が減ってスイッチング損失をさらに低減できるというメリットもある。ゲート容量は従来比で21%低減できた。

 SK Hynix社は、電力制御ICの受託生産事業において2012年に提供を開始した0.13μm世代のBCDプロセス技術「HB1340」を発表した(講演番号:IP-P12)。「HB1340」はHynix/BCD/0.13μm/40Vを意味し、LD MOSFETにおいて、ドリフト層やSTIの構造を改良することで低いオン抵抗を実現している。この技術で製造したLD MOSFETのオン抵抗は、耐圧が24Vの場合で15.5mΩmm2、耐圧が40Vの場合で30mΩmm2である。

 SK Hynix社は2011年から電力制御ICの受託生産事業を手掛けている。かつてメモリ生産などに利用してきた200mmラインを活用しているという。

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