パナソニックが今回作製した有機EL照明パネル。寸法は約8cm角で、発光効率は3000cd/m<sup>2</sup>の場合に88lm/Wだが、デモでは約5000cd/m<sup>2</sup>で発光させているという。
パナソニックが今回作製した有機EL照明パネル。寸法は約8cm角で、発光効率は3000cd/m<sup>2</sup>の場合に88lm/Wだが、デモでは約5000cd/m<sup>2</sup>で発光させているという。
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 パナソニックは2013年5月14日に発表した、高効率有機EL照明パネルの詳細について、学会「SID 2013」で発表し、さらにオーサーズ・インタビューでパネルを公開した(関連記事)。

 同学会でパナソニックは、同社が開発してきた光取り出し技術「BLES(built-up light extraction substrate)」を、詳細なシミュレーションを通して最適化することで発光効率114lm/Wを実現したと発表した。「100lm/Wの壁を超えたことで、有機EL照明は新しい時代に入った」(同社)という。

 具体的には、発光層から出てくる光の角度分布を、BLESで利用するマイクロレンズ・アレイ(MLA)で最も光が取り出しやすい角度分布に近づけた。これによって、BLESの光取り出し効率は、約50%に高まったという。

 作製したパネルは、寸法が1cm2、輝度が1000cd/m2、駆動電圧が5.5Vの場合に発光効率114lm/W。輝度が3000cd/m2、駆動電圧6.0Vの場合に同102lm/Wである。発光寿命(LT70)は初期輝度1000cd/m2の場合に4万時間。昨年のSID 2012で発表した101lm/Wのパネルの同1万時間の4倍と大きく伸びた。「効率が高まったことで、電流を減らすことができたから」(同社)という。一方、発光色はやや黄色くなり、一般演色指数(CRI)は昨年の86から今回は80に低下した。

 同社はより大きな寸法の有機EL照明パネルの作製例についても発表した。面積が25cm2のパネルは輝度1000cd/m2での発光効率が110lm/W、面積が64cm2(約8cm角)のパネルは、輝度3000cd/m2での発光効率が88lm/Wだった。オーサーズ・インタビューではこの64cm2のパネルを実演した。