講演する和田木氏
講演する和田木氏
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 「SEMI Forum Japan(SFJ)2013」(2013年5月21~22日、グランキューブ大阪)の会期初日には、技術セミナーと併せて、「SEMIマーケットセミナー」と題する半導体市場関連のセミナーが開催され、調査会社や証券会社のアナリストが登壇した。同セミナーでは野村證券 エクイティ・リサーチ部 エレクトロニクス・チーム マネージング・ディレクターの和田木哲哉氏が、「装置業界の足元展望と2020年への羅針盤」と題して半導体製造装置市場のトレンドについて解説した。

 和田木氏はまず、足元の半導体製造装置市場に関して「2012年10~12月を底に2013年1~3月は回復傾向にあり、同年4月以降も回復が続いている。これまでのスランプから一転して、一挙に“真夏”が来た」と評した。現在の半導体製造装置市場の牽引役である米Intel社、台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)、韓国Samsung Electronics社に加え、2013年は韓国SK Hynix社や東芝、エルピーダメモリ、米Micron Technology社といったメモリ・メーカーも積極的な投資を予定しているという。装置メーカーにとっては「めぼしい企業が軒並み、投資のアクセルを踏んでいる」(和田木氏)状況にある。

 ところが、近年のエレクトロニクス市場の変化や半導体メーカーの寡占化、微細化のスローダウンなどを背景に、この好況は長続きしない見通しという。例えばDRAMでは20%前後の低い年間ビット成長率が定着しつつあり、2013年に見込まれる設備投資も、過去数年間ほとんど投資が止まっていたことを埋めるものに過ぎないという。NANDフラッシュ・メモリは「メモリ史上最大の危機に直面している」(和田木氏)。具体的には、微細化に伴うプロセス・コスト上昇によってメーカー各社が微細化に興味を示さなくなり、16nm世代への移行を各社が躊躇する動きがあるなど、事実上微細化が止まりつつあるという。NANDフラッシュ・メモリでは微細化限界を克服する手法として3次元化に注目が集まっているものの、3次元NANDフラッシュ・メモリは「2013年時点では50nm世代品のパイロット生産を手掛けるのが手一杯だろう」(同氏)。

「微細化が止まったところに装置のマーケットはない」