Opportunistic HetNetsのデモ
Opportunistic HetNetsのデモ
[画像のクリックで拡大表示]
LTE Directのデモ
LTE Directのデモ
[画像のクリックで拡大表示]

 米Qualcomm社はスペインのバルセロナで開催された携帯通信関連イベント「Mobile World Congress 2013」で、LTEに関連した新技術をデモした。小型基地局を動的に駆動する「LTE-Advanced Opportunistic HetNets」とP2P通信の「LTE Direct」である。

 HetNetとは、大型基地局と小型基地局が混在したheterogeneous networkのこと。Opportunistic HetNetsのデモは、米国サンディエゴの市街に実際に構築した環境にリモート・アクセスすることで行っていた。このデモでの小型基地局は、携帯電話端末を持ったユーザーが近づいたことを察知すると自動的にエリアを拡大。ユーザーがいなくなると、自動的に電源をオフにするという挙動を示していた。これにより、小型基地局を効率よく運用できるという。

 LTE Directは、LTEに対応した携帯電話端末同士でLTEによるP2P通信を行う技術。同様の技術に無線LANを使ってP2P通信を行うWi-Fi Directがある。LTE Directでは、最初に端末を見つけるDiscoveryは端末同士で行い、その後は基地局を介して通信を行う。このため、Wi-Fi Directで問題になる電波の干渉が少ない。

 デモでは、同じ環境で両者の「見つかった通信先(Devices Discovered)」と「つながるまでの時間(Radio On Time)」を比較していた。Wi-Fi Directでは、見つかった通信先は全体の2000のうち74にすぎず、通信が始まるまでに4秒近くかかっていた。これに対し、LTE Directでは、2000のすべての通信先が見つかり、通信までに0.2秒もかからなかった。LTE Directは、知り合いや同じ興味を持つ人などとの通信に利用できるのに加え、屋台などの小規模店舗で通りがかった人に宣伝を行うといった用途も考えられるという。

■訂正履歴
当初、「LTE Directでは、最初に通信先を見つけるときにだけ基地局が介在し、P2PでのLTE通信は端末同士で行う。」となっていましたが、正しくは「LTE Directでは、最初に端末を見つけるDiscoveryは端末同士で行い、その後は基地局を介して通信を行う。」でした。おわびして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/03/06 16:30]