韓国の最大手キャリアのKTとSKテレコムもMWCに参加した。SKテレコムはLTEよりさらに2倍速い150Mbps のLTE Advancedを実際にスマートフォンから利用できるところを世界初公開して、LTE貢献賞を受賞した。2013年下半期からLTE Advancedを商用化するため、MWCの会場でエリクソンと提携を結んだ。

キャリアのSKテレコムは今より2倍速い150MbpsのLTE-Advancedを公開
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 サムスン電子がスポンサーになってMWCに招待した韓国のブロガー記者の間では、ソニーのXperiaの評判が高かった。タブレットPCの方はWi-Fiモデルが韓国で発売されたが、「スマートフォンもタブレットPCも、とてもスタイリッシュなデザインなので、キャリアから3G・4G対応で発売されればもっと売れるはずなのに残念」という評価だった。

 今回のMWCでは、欧米のキャリアから韓国のキャリアCEOに会いたいとミーティング依頼が殺到したという。韓国が先に経験したモバイルネットワーク「フリーライド」議論が、最近になって欧米でも問題になっているようだ。無料通話アプリによってキャリアのネットワークに負荷がかかり、アプリ会社もネットワーク投資額の一部を負担すべきではないか、という議論である。MWCでは、サムスン電子にスマートTVをサービスしたければネットワーク使用料を払えと訴訟を起こしたKTに学べと、欧米キャリアのCEOが集まりKTのCEOを囲んでパネル討論をした。

 訴訟を経験してから慎重になったのか、KTはキャリアとアプリ会社の関係が悪くなるのはどっちも損だとして、「(大量のトラフィックを発生させる)アプリはこれからもどんどん出てくる。アプリ会社を敵対視するより、世界のキャリアが力を合わせてより良いサービスを作る方がいい」と発言した。

 大げさかもしれないが、韓国のマスコミは、サムスン電子が出展しないとなるとMWCの展示ブースはもう運営されなくなるだろうとまで書いている。サムスン電子もそうだが、大手メーカーはだんだん本当の新製品を展示しなくなったからだ。MWCの目的も、新製品の展示を見てトレンドを探るというより、全世界のモバイル関連企業担当者に会えるビジネスミーティングの場に変わりつつある。グーグルも展示なしでミーティングだけした。

 MWCであっと驚くようなスマートフォン新機種の展示がなかったせいか、韓国では早くも次のイベントを待っている。3月14日に米ニューヨークのアップルストアの近くにあるラジオシティミュージックホールで公開予定のサムスン電子のGALAXY S?のことである。アップルストアの近くで新機種公開というところがいいね! どんなすごいスマートフォンに仕上がっているか楽しみである。

趙章恩(チョウ・チャンウン)
ITジャーナリスト
高校卒業まで東京で育ち、韓国ソウルの大学卒業後、ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどに連載。著書「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー刊)「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)
「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送ってます。韓国情報通信部と傘下機関・IT企業の対日戦略リサーチ&コンサルティング、日韓IT視察を企画運営するJ&JNETWORKの代表であり、韓国で唯一、日本とのITビジネス交流を図る非営利団体JIBC(Japan Internet Buisiness Community)の会長を務めています。日韓両国で生活した経験を活かし、韓日のIT事情を比較解説する講師として、韓国の色んな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです。
韓国はいつも活気溢れ、競争が激しい社会なので変化も早く、2~3ヵ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をするとなんだかきつそうな国~と思われがちですが、世話好きな人が多く、電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多く、マンションに住みながらもおいしいものが手に入ればおすそ分けするのが当たり前の人情の街です。みなさん、遊びに来てください!」