2013年2月25日から28日までスペイン・バルセロナで開催されている「Mobile World Congress(MWC) 2013」。話題をさらっているのが米モジラが開発するモバイルOS「Firefox OS」だ。MWC 2013開催前日には多くの通信事業者や端末メーカーとともに説明会を開催し(関連記事)、iOS、Androidに次ぐモバイルOSの第3勢力としての地位を確立したかに見える。一方、新興国などに展開する安価な製品向けであってiOSやAndroidと同じ土俵で語るものではないといった見方もある。Firefox OSの開発に携わる米モジラ Vice President、Firefox EngineeringのJohnathan Nightingale氏に開発の経緯やこれからの展開などについて聞いた。

(聞き手は、大谷 晃司=ITpro)

Firefox OSを開発した経緯は。

タイトル
米モジラ Vice President、Firefox EngineeringのJohnathan Nightingale氏

 2007年からモジラに在籍しており、今年で6年目になる。当初はデスクトップ向けのWebブラウザーのプログラマとして入り、2009年からモバイルにかかわり始めた。スマートフォンのOSが必要であるということを考え始めたのは2年ほど前だ。それまではAndroidに取り組んできたが、Webの状況を見ていて、誰もが使えるOSが必要になるのではないか、ということに気がつき始めた。

通信事業者と提携しようと思ったきっかけは何か。

 これから先の10年ほどで新たに20億人がモバイルユーザーになるだろう。彼らはWebに初めてタッチすることになるわけだが、その人たちが700ドル近くもするスマートフォンにお金を払ってユーザーになるとは思えない。米アップルや米グーグルがやっている今のようなやり方ではなく、誰でも気軽にWebにアクセスできるようなスマートフォンが必要だと考え始めたのが通信事業者と組もうと思ったきっかけだ。

通信事業者にとっては、「Tizen」(関連記事)やモバイル版の「Ubuntu」(関連記事)といった選択肢もある。

 我々は競争相手はいないと思っている。Tizenは韓国サムスン電子が密接にかかわっており、他のメーカーがアクセスしにくいといったこともあると思う。Firefox OSは中立の立場であり、どのメーカーでも、どの通信事業者でも、独自のものを開発していけるという特徴がある。1つのメーカーに属しているものではない。

 Ubuntuは我々と同じようなオープンな開発環境を目指している。アプリがHTML5になれば、どちらのOSでも使えるようになる。それが理想的な状況だ。Ubuntuは、我々の18カ月前と同じ立場にあるように思える。パートナーをどうやって選ぶかといった状況にあり、その間は混乱するかもしれないが、HTML5を採用する方向に進んでもらえれば、我々は競争ではなく協力してやっていけると思う。