NVIDIAは、スペイン・バルセロナで2013年2月25日から開幕するMobile World Congress 2013に先立ち、同社の最新モバイルプロセッサ「Tegra 4ファミリー」の詳細情報を公開した(写真1)。Tegra 4ファミリーは、開発コード名“Wayne”(ウェイン)で知られる高機能スマートフォン/タブレット向けの「Tegra 4」と、開発コード名“Grey”として知られる普及型スマートフォン向けの「Tegra 4i」(写真2関連記事)の2製品で構成。ただし、両製品は異なるCPUコアを採用するだけでなく、製造プロセス技術でも差別化が図られている。また、グラフィックス機能は、省電力性と描画品質の向上を両立すべく、アーキテクチャレベルで大きく手が加えられた。

写真1●NVIDIAでTegraなどのモバイルビジネスを統括するフィル・カーマック上級副社長<br>Tegra 4ファミリーに関する技術説明会でTegra 4iチップを手に、リファレンスデザインなどについても説明
写真1●NVIDIAでTegraなどのモバイルビジネスを統括するフィル・カーマック上級副社長
Tegra 4ファミリーに関する技術説明会でTegra 4iチップを手に、リファレンスデザインなどについても説明
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写真2●Tegra 4iのチップパッケージ<br>中央がBGA版、両サイドがFCCSP(Flip Chip Chip Size Package:フリップチップ実装用パッケージ基板)で、右が実際にDRAMチップを実装したもの
写真2●Tegra 4iのチップパッケージ
中央がBGA版、両サイドがFCCSP(Flip Chip Chip Size Package:フリップチップ実装用パッケージ基板)で、右が実際にDRAMチップを実装したもの
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 ARMの最新CPUコアであるCortex-A15を採用するTegra 4は、リーク電流を抑えた台湾TSMCの「CLN28HPL」プロセスを採用しているのに対し、Cortex-A9 r4を採用するTegra 4iは2012年後半より本格的に稼働しはじめた高性能モバイル機器向けプロセスの「CLN28HPM」を採用。リーク電流は多くなるが、より高クロックで動作させることを優先した。これにより、CPUアーキテクチャ面で演算性能を向上させているTegra 4に対し、Tegra 4iも高クロック動作を実現。従来のTegra 3と比で約2倍のCPU性能向上を果たしていると言う。

 ARM Cortex-A15は、同A9の2命令デコードから3命令デコードへと強化したほか、最大8命令発効の3-12段のアウト・オブ・オーダー実行パイプラインを実装するなど、マイクロアーキテクチャレベルでも大幅に性能を強化している。同コアをクアッドコア構成で搭載するTegra 4のSPECint2000における演算性能は1168と、Tegra 3の520に比べて倍以上となる(写真3)。その一方で、28nm省電力プロセスを採用し、演算性能をTegra 3と同等になるまでクロックを下げた状態における消費電力あたりの性能は約75%となっており、省電力と高性能の両立を果たしている。

写真3●Tegra 4のSPECint2000のパフォーマンス
写真3●Tegra 4のSPECint2000のパフォーマンス
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